島根県の隠岐の島町で開催された第109回GN研究会にて「プレゼンテーション中の発表者のみが聴取可能な音楽による発表テンポ制御の検討」というタイトルで発表してきました(徳久弘樹)

   

三寒四温の候、例年にない体調管理の難しさを実感する今日この頃ですが皆様いかがお過ごしでしょうか。中村研究室M2の徳久弘樹です。

さて今回は、2020年1月23日~24日に島根県隠岐の島町の隠岐島文化会館にて開催された第109回グループウェアとネットワークサービス(GN)研究会に参加し登壇発表を行ってきましたのでその報告記事となります。今回の内容はこれまでに自分がGN106HCS2019でそれぞれ発表したものの続きになります。最初に石垣島で発表したものが沖縄本島、隠岐諸島と続き立派な島育ちの研究が仕上がりました。

ちなみに、会場となった隠岐の島町は島根半島からおよそ40kmに位置する隠岐諸島の島後(とうご)という島にあります。主なアクセスは飛行機やフェリーで、我々は大阪の伊丹空港からの飛行機で現地入りしました。

研究内容

今回の研究では、プレゼンテーション(以下、プレゼン)中に発表のテンポが速くなってしまう問題に着目し、音楽聴取を用いてその問題を解決しようと試みた研究です。

人間にはパーソナルテンポ(精神テンポ)と呼ばれる各々が最も心地よいと感じる間合いが存在することが知られており、人間の歩く速さや食べる速さ、そして話す速さはこのパーソナルテンポに依存するものとされています。さらにこのパーソナルテンポは聴いている音のテンポに誘引されるという研究報告もされており、我々はテンポの遅い音楽を発表者に聴かせることで、発表中の発話テンポを適切なものに制御できるのではないかと考えました。

そこで今回は、BPM100、BPM80、BPM60の3種類のテンポの音楽聴取しながらプレゼンをしてもらう実験を行い、このテンポ制御手法の有用性を検討しました。実験では12名の実験協力者5人1組に分け、1人が発表者で残り4人が聴衆という形で発表者をローテーションし入れ替わりながら2日に分けて進めていく形を取りました。

発表テンポの指標として聴衆の客観評価と発表者の発話速度を採用しました。客観評価では発表テンポについて序盤と終盤に分けてアンケートで尋ねた結果、序盤ではBPM60のときのテンポが最も遅く評価される傾向が見られるも、終盤では音楽なしが最も遅く評価され、音楽を聴いた時のテンポはいずれも序盤より速く評価される傾向が見られました。

しかし、終盤テンポのBPM60においては最も遅く評価されている音楽なしと大きな差はなく、BPM60は終盤に早くなりはするが、それでも標準的なテンポに抑えられるといった傾向が示されています。

発話速度に関しては開始1分以内の発話速度がBPM60のときに遅くなっている実験協力者が最も多く、これが序盤テンポの評価に反映されたものと考えられます。

詳細はこちらのスライドや、こちらの論文にありますので、ご興味のある方はどうぞ!

徳久 弘樹, 中村 聡史, 森勢 将雅. プレゼンテーション中の発表者のみが聴取可能な音楽による発表テンポ制御の提案, 情報処理学会 研究会報告グループウェアとネットワークサービス研究会(GN), Vol.2020-GN-109, No.31, pp.1 - 8, 2020.

 

感想とか

自分は今回が島根県初上陸で、特に隠岐諸島については初めて名前を聞くレベルで知らないことだらけでした。隠岐諸島の1月は観光的にはオフシーズンらしく、街のノスタルジックな景観も相まって落ち着いた雰囲気が印象的でした。スピッツの「水色の街」が合いそうです。

今回の研究会で最も印象に残ったものの1つに、招待講演でいらっしゃった隠岐島前高校の中山隆さんの島の学生のオンラインコミュニケーションの話があります。隠岐諸島の学校に通う高校生たちが、オンラインを通じどのように島の外のコンテンツを活用するかという取り組みに関するお話です。

これまで島の学生が島の外のコンテンツと触れ合うには莫大なコストと時間を要していましたが、オンラインコミュニケーションを活用をすることでこれらの大半は解決されるようになりました。それと同時に新たに直面した課題や、オンラインコミュニケーションがもたらした予想外の恩恵など、オンラインコミュニケーションを「普段使い」した上での話が個人的には非常に興味深かったです。特にオンラインの通話で起こりがちな声の聞き取りづらさが、学生達に丁寧な話し方を意識づけるようになったというのは目から鱗が落ちる話でした。プレゼンの練習にも効果がありそうな気がします。

東京に住んでいる自分にとってはどうしてもオンラインはあくまでコミュニケーションの選択肢の1つでしかなく、オンラインでできないことは最悪「直接会ってどうにかする」ことができるため、オンラインの課題に真摯に向き合うと言うことはあまりしてきていません。オンラインコミュニケーションを「生活必需品」になっているこの場所だからこそ得られた知見は、我々にも多くのことを気づかせてくれました。

最後に

今回で在学中の学会発表は最後になります。2018年4月に中村研に配属された当時は研究の「け」の字もわからない自分でしたが、最終的には2年間で合計8件(共著含む)の論文を投稿することができました。これも忙しい中で自分の指導に時間を割いてくださった中村先生や、居心地の良い研究室の雰囲気を作り出してくれた同期や先輩後輩のおかげです。また経済的事情に一切悩むことなく世界各地の学会に参加できたことは、自分の研究へのモチベーションを保つうえで非常に大きな意味のあるものでした。本当にありがとうございます🙏

あっという間の2年間でしたが今まで生きてきたどの2年間よりも圧倒的に濃い密度の2年だったと思います。この経験を活かして社会でも躍動していきたいと思います。それではまた。

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