中村聡史研究室

明治大学 総合数理学部 先端メディアサイエンス学科: Human-Information Interaction / Lifelog / BADUI

EC2017にて「ノイズキャンセリングミュージック」というタイトルで発表してきました(松田、松井、佐藤)

   

日に日に暑さも和らぎ、夏の終わりの雨音がどことなく寂しさを感じさせる今日この頃、皆さまいかがお過ごしでしょうか。中村研究室修士1年の松田、松井、佐藤です。
2017年9月16〜18日にかけて宮城県仙台市の東北大学電気通信研究所で行われた「エンタテインメントコンピューティングシンポジウム2017(EC2017)」にて口頭発表を行ってきましたので、その報告をさせていただきます。

普段、皆さんはどんな騒音に悩まされていますか

今回発表した研究内容は、日常的に聞こえてくる雑音に対して適切な音楽を流すことによってストレスを緩和し、ユーザに及ぼす悪影響を軽減することを目的としたものです。

さて、皆さんが日常的に耳にする騒音といえば何が思い浮かぶでしょうか?
家の近くを走る車や電車の音、人々の話し声や赤ちゃんの鳴き声、食材を包丁で切る音や洗濯機が回る音など、様々なものが挙げられます。
この夏もセミのうっとうしい鳴き声を散々聞いたという人も少なくないはずです。これらの騒音のせいで集中力が削がれ、作業があまり効率よく進まなくなることも多いのではないでしょうか。

ヘッドホンなどを装着すればこうした騒音もある程度は軽減されますが、騒音を打ち消すだけの音量で音楽などを聞き続けなければならず、耳には良くありません。また、インターホンが鳴っているのに気づかない、知人に後ろから話しかけられても気づかないなど、本来ならば聞き取るべき情報まで遮断してしまうことにもつながります。

雑音のイメージに合った音楽

そこで私たちは、雑音に対して特定の楽曲を流し、ユーザの騒音に対する注意度を低減させる手法を提案しました。

最近では、逆位相の音波を発生させることで聞こえてきた雑音を打ち消し、注意度を低減させるノイズキャンセリングヘッドホンというものが販売されています。これに対して、私たちの手法では雑音とイメージのかみ合う楽曲を提示することで、雑音は聞こえた状態でありながら元のイメージを変容させることを目標としているため、ノイズキャンセリングミュージックと呼ぶことにします。

例えば、外から聞こえてくる車の走行音にF1レースのテーマ曲を組み合わせることで、ユーザは走行音の煩わしいイメージよりも、サーキット場のハラハラしたイメージを強く感じるのではないかと考えられます。

ノイズキャンセリングミュージックのイメージ図

楽曲と組み合わせて再生することで雑音が小さく聞こえることを確かめるための実験を行ったところ、雑音を同カテゴリの楽曲(例:「セミの鳴き声」に対して「夏らしい楽曲」)と組み合わせて聴くと、別カテゴリの楽曲と組み合わせて聴く場合よりも雑音が小さく聞こえるようになるという結果が得られました。

雑音+楽曲の組み合わせを聞いた時の音量評価値

実験後のアンケートで、私たち著者と実験協力者との間で雑音と楽曲のイメージがかみ合わなかったものもあることがわかりました。そのため、今後はそうしたイメージのズレを考慮した実験を行っていく必要があると考えています。

発表スライド・原稿リンク

詳しくは以下のスライドおよび原稿を見ていただければと思います。

松田滉平, 松井啓司, 佐藤剣太, 久保田夏美, 佐々木美香子, 斎藤光, 中村聡史. ノイズキャンセリングミュージック. エンタテインメントコンピューティングシンポジウム2017論文集. 2017, p. 249-256.

いただいた質問

Q1. 提示する楽曲は雑音のコンテキストに依存しているのか、それとも周波数に依存しているのかがよくわからなかった。

A1. コンテキスト依存にしたほうが、ユーザの持っている知識と噛み合う可能性が高いと考えている。

Q2. 雑音に対する生得的なイメージと結びついていたユーザもいたのではないか?

A2. 実験後にとったアンケートでは「楽曲から映画やTVのCMが連想された」といったような、ユーザの知識(コンテキスト)に依存した回答が多く得られていた。

Q3. 実験中は2つスピーカーを設置しているが、ユーザはどちらに耳を傾けるべきか混乱してしまったのではないか?

A3. 多少悩んでいたユーザがいたようなので、今後の実験ではその点についてもしっかり教示を行っていく。

感想

発表の様子

発表は松田が行わせていただきました。この夏休みは他のイベントもあり、多忙なスケジュールに追われながら準備をすることになりましたが、無事に発表を終えることができました。発表練習を見てくださった中村先生、研究室の皆さん、本当にありがとうございました。

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