第216回HCI研究会にて「利き手・非利き手での手書き文字類似度判定手法とその検証」を発表しました(巻野大悟)

投稿者: | 2026年3月16日

はじめに

はじめまして、中村聡史研究室B3の巻野大悟です。2026年1月14~15日に宮古島未来創造センターで開催された第216回HCI研究会にて、「利き手・非利き手での手書き文字類似度判定手法とその検証」を発表しましたので、そのご報告をさせていただきます。

 

 

研究概要

背景

フレイルという言葉をご存知でしょうか。フレイルとは、健康な状態と要介護の状態の間にある、中間的な段階のことを指します。フレイルにはさまざまな症状がありますが、進行すると認知機能の低下や、体の左右の筋力差が現れることがあると言われています。私たちは、このフレイル状態を検出するために、空間的な認知能力や左右差を測ることができる可能性がある「手書き文字」に着目しました。

手書きの左右差については、先行研究では、利き手で書いた平均文字(同じ文字を複数回書いたものを平均化した文字)と、非利き手で書いた平均文字は、互いに似た形になるという結果が報告されています。

この知見を踏まえ、本研究では「利き手と非利き手で書いても形が似やすい」かつ「文字としての特徴がはっきり表れる」文字を見つけることを目的としました。もしそのような文字を利用できれば、健康な人では似やすい文字が、フレイルの疑いがある人では空間認知の低下や左右差の影響により似にくくなる可能性があります。これらの文字の類似度を測定することで、フレイルの検知につながるのではないかと考えています。

 

実験

実験では、左利きの方15人、右利きの方15人、合計30人に協力していただきました。参加者には、「ひらがな・カタカナ・漢字・数字や記号」の4つのカテゴリーから選んだ50種類の文字を書いてもらいました。それぞれの文字について、利き手で5回、非利き手で5回書いてもらい、1人あたり合計500回の筆記データを収集しました。その後、同じ文字を複数回書いたものを平均化し、「平均文字」を作成しました。この平均文字を用いて、利き手で書いた文字と非利き手で書いた文字がどの程度似ているかを測るための評価式を作成しました。さらに、その評価式を使って文字の類似度を計算し、利き手と非利き手で類似しやすい文字と類似しにくい文字を調べました。

選定文字

実験で用いたシステム

結果

実験の結果、横長の形状をした文字よりも、縦長の形状をした文字の方が、利き手と非利き手で書いたときに類似しやすいことが分かりました。

また、「す・な・ふ・む・川」の5文字を使うことで、複数人の平均文字の中から、「同じ人が利き手と非利き手で書いた平均文字の組み合わせ」を識別できる結果を得られました。つまり、この5文字を使えば、利き手で書いた平均文字と非利き手で書いた平均文字が「同じ人のものかどうか」を高い精度で判別できるということがわかりました。

実験で書いてもらった横長・縦長の形状をした文字

詳しい内容は、以下の発表スライドや書籍情報のリンク先のサイトをご覧ください。

発表スライド

書籍情報

巻野 大悟, 能宗 巧, 瀬崎 夕陽, 関口 祐豊, 中村 聡史. 利き手・非利き手での手書き文字類似度判定手法とその検証, 情報処理学会 研究報告ヒューマンコンピュータインタラクション(HCI), Vol.2026-HCI-216, No.47, pp.1-8, 2026.

 

おわりに

初めての研究、実験、論文、学会発表、、、色々大変でしたが、とても良い経験になりましたし、たくさんの方々に支えていただき、心から感謝しております。ありがとうございました。
宮古島は初めて(離島自体初めて)だったので、誰よりもはしゃぎましたし、とっても楽しめました!今年の反省を活かして、来年以降の研究生活をアップデートしていきたいと思います。

ここまでご覧になられた方はありがとうございました。最後に、宮古島のお気に入りの写真を載せて報告を終わらせていただきます。

 

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