石垣島で開催されたHCI201に参加してきました!(横山,伊藤,植木,松田,髙野,櫻井,小川)

      2023/03/20

こんにちは!

M2の横山幸大と伊藤理紗とM1の植木里帆とB4の松田さゆりと髙野沙也香と櫻井翼とB3の小川剣二郎です.
今回は2022年1月16日と17日にアートホテル石垣島にて行われた,第201回ヒューマンコンピュータインタラクション研究会に参加しましたのでその報告をさせていただきます.

中村研に所属するメンバーの発表内容につきましては,別途発表報告記事がありますのでそちらをご覧ください.

気になった研究

非常に興味深い研究がたくさんありましたが,ここでは横山,伊藤,植木,松田,髙野,櫻井,小川が気になった研究を1つずつご紹介させていただきます.

横山が気になった研究

3人称視点VRアプリケーションにおけるアバタの大きさとユーザ動作の関係の調査(斉藤 翼,井尻 敬(芝浦工業大学))

著者らはVR環境において大きさの変化するアバターを3人称視点で操作するとき,アバターに身体的所有感を感じることでユーザ自身の大きさが変化する可能性に着目をしました.そこで,実験協力者に異なる大きさのアバターを利用して絵描きタスクとボーズ真似タスクをしてもらい,その際の動作の大きさを評価したところ,両タスクともに大きさの異なるアバター間でユーザの動きの大きさに有意差はみられませんでした.また,アンケートでは絵描きタスクにおいて操作するアバターの大きさが小さいと身体の動きが小さく感じ,アバターの大きさが大きいと身体の動きが大きく感じる傾向がみられることを明らかになりました.
この研究は着眼点が素晴らしいとおもいました.アンケートでもあったように直感ではアバターの大きさに応じて身体の動きが変わりそうだと思ったのですが,仮説とは異なり有意差がみられなかったことが逆に興味深かったです.実験タスクの改善点もみられたため,今後改善したうえでの研究も気になります.もしタスクの改善によって仮説が支持されたら,筋トレを目的としたゲームなどで無意識的にプレイヤーの動作を大きくさせ筋肥大につなげたりできるのかなと思いました.

 

伊藤が気になった研究

自己肯定感を高めるためのセルフリフレーミング日記帳システムの構築と有効性の検証(木村 理恵,小倉 加奈代(岩手県立大学))

日本人の自己肯定感は諸外国と比較して低いことが明らかになっています.著者らはこの自己肯定感の低さが自信のなさから日常生活においてマイナスに働くというという問題に着目しました.そして,物事を違う視点から捉えるリフレーミングを自分で行えることができる日記システムを提案しました.また,この手法によって自己肯定感が向上するのかなどについて調査を行いました.その結果,元々自己肯定感が高い人にはさらに自己肯定感を向上させることが出来る可能性がわかった一方,低い人の中には自己肯定感が下がってしまう場合もあるとわかりました.さらに,第三者からのリフレーミングとセルフリフレーミングの効果を比較したところ,第三者からのリフレーミングの方が効果的であることも明らかにしました.
自己肯定感を研究のテーマとしているところが興味深く,日記という手軽な手法である点もよいと感じたので発表を楽しみにしていました.結果は元々の自己肯定感の高さによって予期した効果と逆になってしまう恐れがあるというものでしたが,今後の研究が気になりました.

植木が気になった研究

Virtual Realityを活用したイラスト用資料写真撮影システム(橘田 武徳,井尻 敬(芝浦工業大学))

この研究ではイラストを描く際の資料としてVRに着目したものになります.一般的に複雑な構図のイラストを正確に描くために、実際にその構図でたくさんの角度から撮った写真を参考にすることが多いですが,背景との兼ね合いもあり,資料用写真を撮るのは容易ではありません.そこで著者らはVirtual Reality(VR)を活用した資料写真撮影システムを提案しました.提案システムと通常方法の比較実験の結果,実験参加者 4 名のうち 3 名が提案システムを使うことでより短い時間で資料写真を作成でき,また,4 名のうち 3 名が,提案システムで作成した資料写真に基づくラフイラストを高く評価し,提案システムの有用性が明らかになりました.例として学校の教室での資料用写真をVRで作成していたのですが,確かに学校へ資料用写真を撮りに行くのは困難であり,他にわざわざ資料撮影のために出向くのは困難な場所は多数あると思い非常に有用なシステムだと感じました.また,評価実験からも提案システムの操作が容易であり,上手なイラストが描ける資料作成が可能であることが明らかになっていて私も使ってみたいと思いました.

髙野が気になった研究

内発的感情喚起場面において自然に表出される目元を介した感情表出の特徴分析(小林 史弥,山田 颯,藤原 蒼太,青柳 西蔵,山本 倫也(関西学院大学))

これまでの表情研究はEkmanが提唱した基本6感情(怒り,嫌悪,恐れ,幸福,悲しみ,驚き)の顔表情に基づいて行われることが多かったが,近年日本人がEkman理論に従わないことが明らかになるなど,感情と表情の関係性については解明されていないことが多くあります.そこで著者らは「目は口ほどに物を言う」という日本のことわざに着目し,内発的な感情が出やすい場面において目元を介した感情表出の特徴分析を行いました.その結果,目元の特徴量を使用したSVMによる感情推定において平均77.4%の正解率となり,目元の特徴量が感情推定に有用であることを示しました.
一般的によく知られていることわざに基づいて研究を行ったことが興味深く,研究結果の応用先も広く考えられ,今後の発展が気になる研究だと思いました.

松田が気になった研究

冒険的態度を促す地蔵エージェントのデザイン(染谷 有利奈(名古屋大学),高橋 英之(大阪大学),久木田 水生(名古屋大学),伴 碧(大阪大学))

孤独は現代における深刻な問題です。そこで、見守ってくれる他者がいることが重要になります。ここで、エージェント(天照大御神、キリスト、ブッタ、人間、柴犬、ロボット、地蔵尊)に対して、人々はどのような感情を抱くのかについて調査した上で、他の神々に比べて主体性は低く、比較的格上度の高い地蔵尊に着目しました。地蔵尊と人の関わり方をコミュニケーションモデル間で比較した後、地蔵エージェントのデザインについて考察しました。

孤独の解消方法のひとつに見守ってくれる存在があることに共感し、調査の上で地蔵に行き着く展開が聞いていて大変興味深かったです。実験に使用された地蔵のぬいぐるみが可愛らしく印象的でしたし、実際の効果など、今後の研究が気になりました。

櫻井が気になった研究

ピント外れなエージェント : 意思決定理由の言語化を促進するARシステムの開発(中山 一輝,高橋 英之,伴 碧,石黒 浩(大阪大学))

日常的な様々な場面で選択は行われているが,意思決定をすることを苦手とする人も多い.ここで,意思決定の支援方法として,エージェントとの対話を用いた試みがある.しかし,エージェントの支援によって適切な選択ができても,意思決定の満足度が減少するという問題がある.そこで著者らは,意思決定の理由に相応しくない,ピント外れな回答を行うエージェントと対話を行うことで,意思決定理由の言語化を促進する手法を提案した.そして,ARグラス上のユーザの商品選択に合わせて,意思決定の理由にはならない専門的な知識に基づく商品情報をエージェントが提示する会話機能を実装し,意思決定タスクを行う実験をした.結果として,エージェントに自らについて断定される経験が言語化を促進し,理由づけの満足度と意思決定そのものの満足度に正の相関がみられた.
エージェントに反発することで思考促進を狙うという,間接的でありながらエージェントの特性を上手く利用した手法がとても興味深かったです.また,システム内の可愛らしいエージェントが的外れなことを言っている様子が印象に残り,様々な振る舞いをするエージェントが今後追加されていくことが楽しみです.

 

小川が気になった研究

Kokogatari:実環境を介したリレー小説執筆ツール(堤悠太,安尾萌,松下光範(関西大学))

一つの小説を複数人で執筆する「リレー小説」というコンテンツがある.これは,執筆者が想定しなかった展開が生まれうることが,普通の小説とは一味違う特徴である.しかし,物語の一貫性を担保するのが難しいといった問題がある.そこで筆者は,実環境を物語の「舞台」として共有することで,物語の一貫性が保たれるのではないかと考えた.実際にその場に出向くことで物語の続きを執筆することのできるアプリケーションを開発し,実験を行った.結果,実環境を舞台をして共有することによる物語の一貫性への影響はなかったが,風景描写を増加させるなどといった影響があることがわかった.
リレー小説という分野に目をつけ,そこに現実の世界を取り入れていることが興味深かったです.一貫性への影響は見られませんでしたが,また違う視点の手法を取り入れて再度挑戦して欲しいなと思います.

 

感想

『わたなべ』で食べた焼き肉

 

発表者7名,同行者7名+αの大人数で行ったため,ワイワイ楽しく3泊4日の石垣島を過ごすことができました!
石垣牛や海鮮,ゴーヤチャンプルーやサーターアンダギーなど沖縄(石垣)ならではの美味しいものがたくさん食べることができて
幸せでした!!

石垣島は冬とは思えないぐらいちょうど良い気温で,1日目と4日目こそ天気に恵まれず残念でしたが,
竹富島に行ったり,川平湾でグラスボートに乗ったり,石垣島鍾乳洞を見に行ったりと
みんなで観光できたのも良い思い出です😌

また,HCI研究会では興味深い研究の発表を聞くことができて,とても刺激になりました.
私たちも精進してまいります!

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