はじめに
こんにちは.中村研究室B3の大石琉翔です.
2023年1月16日~17日に淡路島で開催された第201回HCI研究会にて研究発表を行いましたので,ご報告させていただきます.
今回は「内発的動機付けが運転に及ぼす影響の調査:クリック選択と音声選択の比較」というタイトルで発表してきました.
研究概要
初心者ドライバやペーパードライバは他のドライバと比べると運転の経験が不足しており,苦手意識を克服するためには運転の回数を重ねることが重要です.我々はこれまでの研究において,練習運転の効果を高めドライバの技能向上を支援するために,内発的動機付けに着目し,運転前に提示する選択肢の中から運転時に気をつけることをドライバ自身が選択するシステムを提案してきました.その結果,提案手法が修正舵の減少に効果があることが示唆されたが,その他の技能には差がありませんでした.その原因として内発的動機付けの効果が薄かったことや,実験参加者に提示したタスクが不適切であった可能性が考えられました.
そこで本研究では,タスクやコースを再設計するとともに,意識付けの方法として音声発話に着目し,自己決定に加えて,声を出しながら選択するシステムを提案しました.提案手法による効果を検証するために,運転時に気をつけることを 3 つの選択肢の中からドライバ自身が音声選択する場合と,ただクリック選択する場合という下記の3条件を用意し,比較検証を行い,有用性を検証しました.
- 音声選択する条件
- クリック選択する条件
- 外発的動機付け条件
また,動機付けした後にドライビングシュミレータで運転してもらいました.
実験参加者は,それぞれの条件で外れ値がない大学生・大学院生10名ずつ(計30名)でした.
実験の結果は,以下の図に示します.
図の結果から,「速度を維持する技能」と「ハンドル操作の技能」で音声選択条件がいい結果が見られました.しかし,「道路の中央を維持する技能」では,音声選択条件が悪い結果を示しました.
「道路の中央を維持する技能」だけ仮説に反した結果となったのは,タスク選択の偏りが原因と考えています.
上の図の通り,音声選択条件の1回目のタスク選択で10人中7人が「道路の中央を維持する技能」のタスクを選択していました.運転の慣れが小さい人が偏ってしまったことが結果に影響が出てしまいました.これはタスクの発声しやすさや,タスクのわかりやすさが影響したのではと考えています.
今後は,タスクが偏らないようなタスク設計を行うとともに,実車での検証を行なっていきたいと思っています.
発表スライドと論文情報
発表スライド
論文情報
感想
初めての学会発表で緊張しましたが,中村研究室以外の方々からアドバイスやコメントをいただき,とても貴重な経験となりました.
論文添削や発表の練習など,たくさんサポートをしてくださった中村先生や中村研究室の皆様に心から感謝しています.
石垣島は海が透き通っていてとても綺麗な場所で沖縄ならではの料理も美味しかったです.また,先生や先輩方が色々と予定を計画してくださったおかげで,とても楽しい旅となりました.
石垣牛の肉寿司
川平湾の海
研究会でいただいた意見を参考に,これからも研究を頑張っていきたいと思います.