はじめに
こんにちは。中村研究室B3の萩原亜依です。
2023年1月16日~17日に淡路島で開催された第201回HCI研究会にて研究発表を行いましたので、ご報告させていただきます。
今回は「提示する文字形状が読解問題の正答率に及ぼす影響の調査」というタイトルで発表してきました。
研究概要
電子機器の普及によって、現在の教育現場においてはデジタルとアナログが共存しています。それに伴い、電子機器で用いられるさまざまなフォントや、個性のある手書き文字など多様な文字形状が存在するようになりました。そのため我々は文字形状が学習に与える影響について調査を行ってきました。
これまでの研究では「記憶」と文字形状の関係について調査を行っていましたが、今回は「理解」に注目し、理解と文字形状の関係について調査することとしました。理解の中でも特に文章理解に着目し、文字形状が読解問題の成績に与える影響を調査しました。
フォント2種類、手書き文字2種類で読解問題を提示し、その成績を点数化して分析を行いました。問題に解答してもらった後に、文字形状の印象などについてアンケートに回答してもらいました。問題と文字形状の例は以下に示します。
文字形状と問題の例
結果
文字形状ごとの結果を以下に示します。MSゴシックと手書き文字1の成績の平均点がやや高くはなりましたが、有意な差は認められませんでした。
文字形状ごとの成績の平均点
次に、文字形状の読みやすさごとの結果を以下に示します。アンケートの結果をもとに読みやすい群と読みにくい群で群分けを行ったところ、読みやすい群の方が成績の平均点が高い結果とはなりましたが、こちらも有意な差は認められませんでした。
読みやすさごとの成績の平均点
ここで、文字形状の読みやすさの評価を示します。以下の表より、MSゴシックとMS明朝は読みやすいという評価に、手書き文字2は読みにくいという評価に偏っていることがわかります。そのため全体として、読みやすさが理解に与える影響を正確に見ることができていないと考えました。そこで、読みやすさの評価が割れている手書き文字1に注目することとしました。
各文字形状の読みやすさの評価(件)
手書き文字1における読みやすさごとの結果を以下に示します。こちらも読みやすい群の方が成績の平均点が高く、点差も大きく開いていることがわかります。
手書き文字1の成績の平均点
以上のことから、読みやすい文字形状で問題を提示すると読解問題の成績が向上する可能性が示唆されました。この原因としては、読みにくい文字形状問題を提示されると、文章を読むことに負荷がかかり解答の妨げとなることが考えられます。
今後は評価が偏らないような文字形状の選定や評価方法の導入する、実験協力者の視線を計測するなど、タスク設計の見直しを行っていきたいと考えています。
発表スライドと論文情報
発表スライド
論文情報
感想
1ヶ月以上この記事書くのを放置していたので懐かしいな〜〜とか思いながら書きました。次からはすぐやります。。
改めて思い返すと、初めての学会発表、本当に無事終えられてよかったです・・・普段たくさんの知らない人の前で話す機会があまりないのでとっても緊張しました。自分の研究についてコメントをいただけたことはとても嬉しかったですし、気づきも多くありました。また、他の学生がどんな研究をしているのか聞くのは面白く、とても刺激になりました!貴重な体験をさせていただいたことに感謝しかないです。
今回は発表者以外にも同行者の方がいらっしゃったので、とても大所帯での学会発表となりました。修学旅行みたいな気分で楽しかったです。おいしいものもいっぱい食べて、たくさん観光もして満喫しました〜
最後になりますが、ご指導してくださった中村先生、学会を開催してくださった主催者の方々、論文添削や発表チェックをしてくださった先輩や同期の方々、実験に協力してくださった友達や後輩など、たくさんの人のサポートのおかげでなんとか発表することができました。この場をお借りして感謝申し上げます。
今回の経験を活かして、次回はさらに成長できるように日々精進したいと思います!まずは卒論テーマ決め頑張ります!