こんにちは!中村研究室B4の斉藤、M1の佐藤です!
このたび、第47回エンタテインメントコンピューティング研究会に参加してきたので、その報告をさせていただきます。発表報告につきましては以下のリンクを参考にしていただければと思います。
気になった研究
各自が気になった研究発表を2つずつ紹介させていただきます。
斉藤が気になった研究
センシング技術を用いた人と植物とのインタラクション促進システム:赫寧、寺田努、塚本昌彦(神戸大学)
近年、視覚疲労緩和やストレス解消などを目的とし、室内に植物を配置する人が増加しています。しかし、植物への関心が日に日に薄れてしまい、世話をしなくなる人がいます。
そこでこの研究では、植物の水分などの状態に応じて、あたかも植物が感情をもっているかのように表現することで、育成者にフィードバックするシステムを提案しています。具体的には、3段階の動作速度と4色のLEDを用いて合計12パターンの感情を表現させていました。
自分自身植物が好きで室内で飼育することがあるのですが、光を十分に確保できず、水やりを行なっていても植物を枯らしてしまうといったことがあります。こちらのシステムのLEDを用いるという点が、日光が当たらない室内で育てるという状況ととても相性が良いなと思いました。
自撮り写真の目にどれだけ盛れば魅力が下がるのか―「盛る」感性の性差・地域差の検討―:増田知之、小関美咲、邵宇晨、加藤隼平、山中敏正(筑波大学)
こちらは本研究会のプログラムが公開されたとき、最も異彩を放っていて心惹かれたので、紹介させていただきます。
自撮り写真をアプリで加工して、SNSにアップすることが若者の間で流行している。この研究では、盛りの要素の中でも最も代表的な要素である「目」に着目し、20代平均顔の目に対して盛りを段階的に施し、盛る量と魅力度の関係を調べています。
調査の結果としては、目に盛る量と魅力度には性別や生活環境・地域の違いで有意な差が見られなかったことから、目に盛る量に関しては日本の若者に共通した感性が存在することを明らかにしていました。
先日プリクラを撮り、女子高生に人気の加工モードで撮影したところ、バケモノのような目の大きさに加工されてびっくりしたことがあったので、同じ若者でも10代と20代の間では盛りに対する感覚に違いが出そうだなと感じました。
佐藤が気になった研究
単語間の意味的類似度を用いた数字語呂自動生成システムの実装と評価:袴田はるか、磯山直也、寺田勉、塚本昌彦(神戸大学、科学技術振興機構さきがけ)
歴史のできごとに関する西暦や電話番号など、数字列を覚えるべき機会というものは多く存在するため、「鳴くよ(794)ウグイス平安京」のように語呂合わせで覚える人も多いでしょう。しかし、脈絡のない単語から語呂を考えてもなかなか記憶が定着しないこともあります。
そこでこの研究では、Wrod2Vecを用いて単語の特徴ベクトルを取得し、ベクトル間のコサイン類似度を計算することにより、ユーザの入力したカテゴリ名と関連の深い単語群から語呂を自動生成するシステムを提案しています。実験により、4桁程度の短い数字列であれば提案手法が有効に働くことを明らかにしています。
覚えたい事柄と関連の深い単語を優先して語呂生成に使用するというアプローチには興味を惹かれるものがありました。電話番号の例で個人的に考えたことですが、テレビCMで放送されている企業の番号など、すでに実在する電話番号とその語呂合わせを分析することにより、人間が覚えやすい語呂とはどういうものかという傾向がわかるのではないかと思いました。
ドローンの羽音を利用した個体識別:室崎之典、小野龍一、斉藤佑祈、大渕康成、羽田久一(東京工科大学)
通常、ドローンの識別を行うには機体にマーカーをつける方法が取られていますが、コストの高さや制限の厳しさが問題となっています。この研究ではドローンの羽音から各機体の位置推定および個体識別を行うことを目的とし、これまでの研究では異なる機種を羽音によって分類できるという結果が得られていました。しかし、近年のライブ演出などにおいては全て同じ機種で揃えたドローンを用いるため、同機種でも個体識別を正しく行う必要があります。
ここでは機械学習を用いて各機体の音響特徴量から個体を識別する実験を行い、最大80%の精度で正しく判定できるという結果が得られました。
同一機種ならば羽音も同じなのではないか?という先入観があったので、音響特徴量と識別アルゴリズム次第でこれほどの推定精度が出せることに驚きを隠せませんでした。また、実際のライブパフォーマンスなどの場面では多数のドローンが同時に羽音を発生させるはずなので、そういった複雑な状況の中でも正しく識別ができたら一気に利用の幅が広がりそうだなと思いました。
感想
今回は発表件数が少ないこともあって1日のみの開催となりましたが、そのなかでも多様な研究内容に触れ、充実した時間にすることができて何よりです。また、デモを積極的に取り入れる発表がいくつか見受けられ、いつもよりカジュアルな雰囲気で楽しむことができました。