中村聡史研究室

明治大学 総合数理学部 先端メディアサイエンス学科: Human-Information Interaction / Lifelog / BADUI

SIGHCI177で「文章作成時の視線分析に基づく読み返しを促す視線誘導手法の提案」というタイトルで発表してきました&学生奨励賞をいただきました!(福地翼)

   

はじめに

中村研究室,元学部4年生でこの4月から社会人の福地翼です.2018年3月16-17日に明治大学中野キャンパスにて行われた情報処理学会 第177回ヒューマンコンピューターインタラクション研究会(SIGHCI_177)に参加し,研究発表をしましたのでその報告をさせていただきます.

発表内容

今回の発表内容をざっくりと紹介させていただきます.

まずこの研究は,文章作成の支援に着目した研究になります.手紙や報告書など文章作成を求められる機会はとても多く,特に報告書のような「情報の共有や伝達」が目的となる文章は「文章の質」が重要になってくるため,文章作成には高い能力が必要とされます.なかでも,卒業論文や学会発表のための原稿などは,論理的にかつ誤解を与えないように記述する必要があります.こうした原稿の質を向上させる方法は,他者によるチェック(大学などでは研究室の先生によるチェック)が重要なのですが,手間がかかるものですし,私の所属している研究室のように学生が20~30名で,先生が1名というような環境では先生の負担も大きいものとなっています.

こうした,文章作成を支援する研究やツールはいくつも存在しますが,それらは一つの文章からミスを自動検出するような方法が多いもので,そのため全体の流れにおけるミスを発見しづらく,書き手の修正がシステムに対して受動的になり成長が乏しいといった問題があります.この研究は,これらの問題を解決することを目的としたものになっており,システムのサポートにより,本人が無意識に能動的な修正を行うことによって,成長を促すというものになっています.

ここで,我々は上の動画でお見せしたような文章作成時のふるまいに焦点を当てました.こういった文章作成時のふるまいは,過去の研究において文章能力との関連性が示唆されています.そこで我々は,こういった文章作成時の行動を矯正するような支援を行うことが文章作成能力の向上につながると考え,合計40分程度の文章作成実験を実施し,その文章の質と,上の動画(長い読み返し①,長い読み返し②,短い読み返し)で示した「読み返し」回数の傾向分析を行い,その結果をもとに文章作成を支援する手法の検討を行いました.胃かは,その読みか椅子の時間による変化を示しています.

長い読み返し①の時間ごとの回数変化

短い読み返しの時間ごとの回数変化

また,それぞれの相関は下表のようになっています.

主観的評価と読み返しの相関関係
客観的評価と読み返しの相関関係

明らかになった点を簡単にまとめますと

  • 短い読み返しは文章作成の前半に,長い読み返し②は文章作成の後半に頻繁に行われる
  • 文章評価の高い人と低い人の差は読み返しのタイミングではなく,読み返しを行う頻度に依存する
  • 読み返しは論述の正しさや文章の簡潔さといった文章の構造に影響を与える視線行動
  • 長い読み返し②と短い読み返しが文章評価と正の相関を示し,特に長い読み返し②の相関が強い.

となっています.この結果をもとに提案した文章作成支援手法が以下の動画のようなものとなっています.ここでは,文章作成者があまり読み返しを行っていない場合に,周辺視野部分に回転する物体を提示することによって,視線誘導を行い,無意識な読み返しを促すようなものになっています.合わせてご覧ください.

今回の発表について、学生奨励賞をいただくことができました。聴いていただいた皆様、評価いただいたみなさまありがとうございました。

スライド

発表スライドはこちらになります。研究の詳細を確認したい方はこちらをご覧ください。

論文はこちらになります。発表スライドと合わせて確認ください。

福地翼,中村聡史:文章作成時の視線分析に基づく読み返しを促す視線誘導手法の提案,情報処理学会,研究報告ヒューマンコンピュータインタラクション(HCI),2018-HCI-177,30,1-8(2018-03-09),2188-8760

感想

最後に感想です.これまでに何度が登壇発表を経験し,慣れてきただろう思っていた部分もあったのですが,相変わらず緊張していてちょっとしたハプニングもあったりと全然慣れないもんだなと感じました.ただ一方で,初めて発表した時はやり遂げるのがやっとでしたが,今では色々な意見をいただき,様々な議論ができる発表の場が有意義なものだと感じることができるようになった部分もあります.そういう意味では少しは成長できてるのかなとか感じたりもします.来年からは社会人になってしまうのでこういった研究の場からは一旦離れますが,機会があれば少し覗くくらいのことができたらなと思います.

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