第191回HCI研究会で「作画ミス見落としに関する基礎調査とその防止のためのイラストの自動遮蔽システムの実現」というタイトルで発表してきました(髙橋拓)

   

こんにちは!M2の髙橋拓です。

2月もすでに終盤となりましたが、皆様いかがお過ごしでしょうか。
私は爆裂メガ肌荒れに苦しむ日々を送っています。嫌ですね~

さて、2021年1月28~29日にオンラインで開催された「第191回情報処理学会ヒューマンインタラクション研究会(SIGHCI191)」に参加し、研究発表をしてきましたのでその報告をさせていただきます。

 

研究概要

以前より進めていました「作画ミス見落とし防止」研究の最新版となります。
(これまでの研究については2019年のDCC研究会2020年のHCI186での発表報告記事をご覧ください。)

本研究における「作画ミス見落とし」とは何か説明しますと、
イラスト制作において、描いている最中や、描いた直後にはなかなか絵の中の「作画ミス」に気付けず、ミスが残ったまま投稿・納品などしてしまい、数時間後や数日後にトホホとなる現象です。

また、ここで言う「作画ミス」とは、単純に自身の納得のいかない作画全般を指し、「どれだけ自分の好みが反映されているか?」といった作者にしか判別できないものを含んでいます。

私自身が頻繁に「見落とし」をやらかすため、これを回避したいという欲から生まれた研究です。

作画ミス見落としのイメージ あるあるですよね…?

 

これまでの研究では、イラストの一部分を隠し、隠れていない範囲を観察&隠れている範囲を想像することで見落としをある程度防止可能な部分遮蔽手法を提案し、その有用性を明らかにしてきました。

部分遮蔽手法のイメージ

 

今回の研究は、以下の2点を行ったものになっています。

  • そもそも「作画ミス見落とし」は誰もが抱えてる問題なのか?なぜ見落としてしまうのか?といった背景を把握するための大規模アンケート調査
  • 入力した線画イラストに対して、自動で効果的な遮蔽を適用する自動遮蔽システムの実装とその評価実験

 

まず、アンケート調査の結果を簡潔にまとめると以下のようになります。参加者の属性や条件、分析手法などは論文をご参照ください。

  1. 「作画ミス見落とし」を意識し、防止するための工夫を作画中に取り入れている人であっても、その60%近くが日常的に見落としを経験している
  2. 「見落とし」の原因として、目の慣れや脳の慣れといった認知の慣れを問題視している人が多い。この認知の慣れは、先行研究において明らかになっている、イラスト中の特定の一点ばかりを気にしてしまう意識の偏りや、自身が線に込めた意味を自覚しているために正確に絵を捉えられない認知バイアスを含んだ現象だと考えられる

「見落とし」はSNSなどで時折話題にあがる印象がありましたが、やはり困っている人は少なくないようです。

また、これまでの研究において示唆されてきた、部分遮蔽手法によって生じる感覚変化や、遮蔽がパーツを分断した時に特にミス発見に効果的であるという結果は、
強制的に観察範囲を変化させることによる意識の偏りの解消、および線をまとまりとして認識できなくすることでバイアスの低減が引き起こされたためだと推測しています。

「手」「マグカップ」といったパーツ内部を分断するような遮蔽が効果的でした

 

続いて、自動遮蔽システムの実装ですが、今回は画像内の閉領域をひとつのパーツとして扱い、これを分断するような遮蔽をランダムで生成・提示していくような仕組みになっています。
下の画像は遮蔽アルゴリズムのイメージ図です。中央のイラスト中の黄緑の四角で囲われた範囲が閉領域です。このとき「顔」が選定され、右の遮蔽が生成された、という流れを表しています。

 

遮蔽アルゴリズムのイメージ 

 

評価実験の結果、以下のことなどが明らかになりました。

  1. 実験協力者全員がある程度満足な作画ミス発見と修正が可能になった
  2. 作画中の左右反転などの工夫をしても見落としてしまったミスを本システムによって認識可能になった

今後の応用や展開としては、システム設計の改善や、より効果的な遮蔽形状とアルゴリズムの模索などが考えられます。
また、本システムを既存ペイントツールのプラグインとして実装し、ワンクリックで適用可能なものになっていけば便利なのではないかと思っています。本研究の成果がいつか皆さんの手元に届けば嬉しいです。

 

以下、文献情報(リンク先、ヘッダー部の「PDF」をクリックすることで論文をご覧いただけます)と発表で使用したスライドです。
本研究の詳細はこれらをご参照いただければ幸いです。
また、本研究の内容を含んだ修士論文も公開されていますので、併せてどうぞ!

文献情報

髙橋 拓, 中村 聡史. 作画ミス見落としに関する基礎調査とその防止のためのイラストの自動遮蔽システムの実現, 情報処理学会 ヒューマンコンピュータインタラクション(HCI), Vol.2021-HCI-191, No.9, pp.1-8, 2021.

発表スライド

発表で使用したスライドです。

感想

オンライン開催ということもあり、いつもよりもリラックスして発表できました。
発表を聴いてくださった方々、そして実験や調査にご協力いただいた沢山の方々、ありがとうございました!

さて、今回が私の学生生活最後の学会発表となりました。
学部3年時から4年間、沢山の人に支えられて毎年成果を残すことが出来ました。自分ひとりでは決して達成できなかったことです。

中村研究室で過ごした日々は、本当に充実していました。
沢山の知識や技術を学べたことはもちろんですが、先生や同期、先輩後輩と過ごすことで、様々な面で成長することが出来たかなと思います。毎日楽しかったです!

最後になりますが、皆さん本当にありがとうございました!

それでは、さようなら~~~~!

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