こんにちは、B3金谷一輝です!
2025年3月5~7日に芝浦工業大学豊洲キャンパスで開催されたHCI212に聴講として参加させていただきましたので、その報告をさせていただきます。
この記事では気になった研究と聴講参加の感想についてお話させていただければと思います。
気になった研究
ARを用いた野球のストライク判定支援手法
水谷 元紀(神戸大学大学院),土田 修平(お茶の水女子大学),寺田 努(神戸大学大学院),塚本 昌彦(神戸大学大学院)
こちらの研究は、野球における審判の判定を補助することを目的としたシステムを提案し、そのシステムの導入が審判の抵抗感や権威の低下、および信頼感の低下に与える影響を評価した研究です。システムとしてはARを用いてストライクゾーンの視覚化と横視点での映像の提示を行っていました。アンケート評価の結果、システム導入への抵抗感や権威の低下は比較的小さく、信頼感の低下も抑えられる傾向が見られました。
完全な機械判定ではなく人間の審判を補助する形でのシステムなのが率直に面白いなと思いました。また横視点映像という本来の審判が見ることのできない位置の映像を提示することで、より正確な判定ができそうだなと感じました。この研究ではシステム導入での抵抗感や審判の権威・信頼感などに着目をしていましたが、実際に試合で審判がこのシステムを導入することで、どのくらい自分の判定と機械による判定を採用するのかも気になりました。
健康支援アバターにおける説得力向上のためのバイアス戦略に関する国籍別調査
大園 咲奈(九州大学),Schindler Carolin(Ulm University),中村 優吾(九州大学),荒川 豊(九州大学),Minker Wolfgang(Ulm University)
こちらの研究は、医療やヘルスケア分野などで活躍するアバターが認知バイアスを用いて説得を行う際の効果を、日本を含む4つの国籍の参加者を対象に調査した研究です。調査の結果、アバターより人間による説得のほうが信頼できるという意見がありました。アバターの外見や表情の豊かさが説得力に大きく影響を与える一方で、アバターへの抵抗感や不自然さを感じる参加者が多くいました。また認知バイアスについては、特に日本人が同調性バイアスに、ドイツ人では権威バイアスに影響を受けることが分かりました。
この研究で調査した実験者がどの国籍も平均年齢が20代だったので、年齢層が変わったら結果がどう変わるんだろうというのが素直な感想です。年齢層が高くなればなるほど、アバターへの印象も変わるでしょうし、説得力という点では大きく変化しそうだなと思いました。また今回の題材は「ベジファースト」だったのですが、日本人参加者の89%がもともと知っていたらしいので、まったく知名度のない題材で同じような実験を行うとどうなるのかも気になりました。
ジェンダーに基づく判断を指摘する面接官補助システムの有用性に関する調査
石田 こなつ(お茶の水女子大学),石戸谷 由梨(お茶の水女子大学), 小林 一郎(お茶の水女子大学),五十嵐 悠紀(お茶の水女子大学)
こちらの研究は、Web採用面接中の面接官の発言にジェンダーに基づく判断が含まれる場合に、発言のどの部分にジェンダーに基づく判断があるのか、発言内容をどう捉え直せば良いを面接官に提示するシステムに関して調査を行いました。結果としては、一部のユーザでシステムにより自分の発言に対する注意を向けられる効果がありました。しかし今回の実験では、面接官役の実験参加者がジェンダーに基づく発言を含むスクリプトを読む形式であった。
この研究では、オンラインでの面接中にジェンダー発言が含まれるときに面接官にフィードバックを返すシステムであったが、ジェンダーに基づく発言のみならず、女性へのセクハラや、上司と部下で起きるパワハラや、顧客と製作者で起きるカスハラなど世に存在するハラスメントに適応できるのではないかと思いました。また、実験では面接官役の実験参加者がスクリプトを読むだけだったので、実際の面接時での状況でもシステムがどう面接官に影響を与えるのか調査してほしいです。
感想
先日インタラクションにも参加をさせていただいたときに、研究への熱が高くなりこちらのHCIにも聴講で参加することにしました。急遽こちらにも参加を決めたので、自分の満足のいくほど発表を聞くことはできなかったのですが、中村研の先輩方の発表やスポーツに関する研究を聞けて楽しかったです。インタラクションでも感じましたが、やはり学会は全日参加したいですね。途中で帰るのがもったいないと思えるようになりました。今回もジュニア会員として無料で参加させていただきました。来年度からは参加費がかかってしまいますが、できるだけ学会に参加したいとも思いました。
中村研からは5名(徳原眞彩さん、木下裕一朗さん、青木柊八さん、髙久拓海さん、髙野沙也香さん)が発表を行いました。1年間研究グループが同じ先輩方の発表であったり、M2として最後の研究発表を聞けたりと、かなり感慨深かったです。特にM2の先輩方は発表も質疑もレベルが高く、最高学年のすごさを見せつけられた気がしましたね。急遽、聴講で参加することになったにも関わらず、ご飯にまで誘っていただき楽しかったです!M2のみなさんが、新天地でご活躍されることを心よりお祈り申し上げます!
偉大な先輩方のようになれるように、これから少しずつ精進していきたいと思います。