M2の関口祐豊です!
2025年1月14, 15日に沖縄産業支援センターで開催された第211回ヒューマンコンピュータインタラクション研究会(HCI211)を共著者として聴講して参りましたので,その報告をさせていただきます。
この記事では、共著論文と気になった研究、聴講参加の感想についてお話しさせていただければと思います。
共著論文
書き心地の改善に向けたペン先の摩擦が筆記のブレに及ぼす影響
能宗 巧(明治大学)、瀬崎 夕陽(明治大学)、小林 沙利(明治大学)、関口 祐豊(明治大学)、中村 聡史(明治大学)、近藤 葉乃香(株式会社パイロットコーポレーション)、梅澤 侑己(株式会社パイロットコーポレーション)、橋本 忠樹(株式会社パイロットコーポレーション)
この論文は、タブレットなどのデジタル手書きにおいてユーザが自身に適したスタイラスペンと出会える未来を切り開くことを目指し、ペン先の摩擦特性によって生じる筆記のブレと主観的な書き心地の関係性を調査したものです。
実験では、摩擦特性の異なる7種類のペン先(市販品や試作品)を用意し、文字「あ」と「永」を書くタスクと削除タスクを行っています。
全体として、筆記のブレと書き心地の間に一貫した強い相関は見られなかったものの、特定の参加者や文字においては中程度の正の相関が確認されました。今後より詳細な実験設計を行うとともに、ユーザがペンを購入する際に、適当なペンで文字や図形の筆記・削除タスクを複数回実施し、そこで得られたブレのデータとユーザの筆圧値や利き手といった属性情報を組み合わせることで、ユーザに最適なペン先の摩擦特性を持つペンを推薦する仕組みの構築を行なっていきたいと考えています。
スライド
微細な筆圧変化を用いたシート判別手法の提案
瀬崎 夕陽(明治大学)、関口 祐豊(明治大学)、中村 聡史(明治大学)
この論文は、タブレット端末におけるこれまでにない画期的な入力・操作手法を目指したものです。具体的には、筆記時にペンが表面特性によって微細な筆圧変化を示すことに着目し、追加デバイスを用いることなくシートに施した浅い溝(テクスチャ)のみを活用した手法を提案しています。
実験では、溝の間隔幅が異なる6つのシートを試作し、筆頭著者自身でストロークデータセット構築を行なっています。
全体の分類精度は約0.74だが、特定のシート組み合わせでは精度が0.98以上に達していました。今後は、JavaScriptではなく、ネイティブアプリケーションとしてシステムを実装することで高頻度に筆記点を取得し、実際にシートによる入力・操作手法を応用できるシチュエーションでの有用性について調査していきたいと考えています。
スライド
気になった研究
理学療法初学者の患者情報収集支援を目的とした患者情報収集支援ツールの提案
岩脇 朱梨(関西大学)、松下 光範(関西大学)、堀 寛史(甲南女子大学)
こちらの研究は、理学療法初学者の患者情報収集における時間削減や見落としを防ぐことを目的とした研究です。
患者情報の各評価項目を「基本情報、医学的情報、社会的情報、理学療法評価」の 4 つの情報に分類し、どの情報を収集すべきかを理解しながら効率よく患者情報を収集できるような患者情報収集支援ツールを提案しています。
課題と必要な要件を明らかにしてシステムを作成しており、記録項目数や記録時間において圧倒的な結果が出ている点がとても良いと思いました。
共有画面内のプライベートな情報の視覚的遮蔽方法に関する調査
牧田 莉実(お茶の水女子大学)、石田 瑞季(お茶の水女子大学)、池松 香(LINEヤフー株式会社)、五十嵐 悠紀(お茶の水女子大学)
こちらの研究は、オンライン会議システムで画面共有を行う際に生じる他者と共有したくない情報が誤って画面に表示されるリスクを軽減するシステムにおいて、自動的に情報を隠してくれる複数の遮蔽方法を比較して、良好な視聴体験を提供するシステムを検討した研究になります。
6 種類の画像処理フィルタを共有画面内の遮蔽箇所に適用し、プライバシー保護とユーザ満足度の観点から適切さを評価していました。
実際に利用してみたいと思えるほど便利な手法であると感じました。フィルタによって隠す以外にも別の文字列や画像に差し替えてみても面白そうな研究であると感じました。
感想
多岐にわたるテーマの研究発表を聴くことができ、とても充実した2日間でした。学会中に開催された懇親会では、ほかの研究室の学生や教授方と交流することができ、とても楽しかったです。
また、とんでもなく美味しい料理をたくさん食べることができて幸せでした。沖縄は最高です!
やっぱり研究室の参加者が多い学会って最高ですね!来年度もHCI研究会はもちろんのことWISSやインタラクションなどの学会でも大人数で参加できるといいなって…笑
また色々なところに出張にいけるように、今後も研究活動に励みたいと思います。最後までご覧いただきありがとうございました。