第21回日本バーチャルリアリティ学会大会へ聴講参加してきました(松田・福地・山浦)

   

初めての日本バーチャルリアリティ学会大会への聴講参加

9月14日から16日の3日間、松田と福地と山浦の3人でつくば国際会議場で開催された第21回日本バーチャルリアリティ学会大会に聴講参加してきました。

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口頭発表

日本バーチャルリアリティでは口頭発表と実演発表の2つの発表形態があります。まず初めに口頭発表のなかで私達が興味深いと感じた研究についていくつかご紹介いたします。

「HapStep:前後方向の足裏への摩擦を利用した座位姿勢での足ふみ感覚呈示」加藤、黒田、清川、竹村(大阪大学)

  • この研究は「触覚:歩行」セッションで発表されたもので、座ったままの姿勢で歩行時の足ふみの接地感と踏み出し感の再現よる歩行感の提示を行うものです。従来の歩行感提示デバイスの多くが、立った姿勢で歩行の刺激提示を行うものが多い中、座った姿勢のままで歩行感を感じられるため、VR空間を長時間体験しても身体的な疲れが起きづらい利点があります。実演発表で実際に体験しましたが、座った状態であるにも関わらず歩行している感覚が得られ驚きました。

「音を用いた舌インターフェース」安宅 佑樹、渡辺、 石川 (東京大学)

  • この研究は二日目の「人間計測技術」セッションで発表されたものです。研究の内容としては歯と舌の擦り切れ音をウェアラブルデバイスの操作に適応するといったものです。従来の操作手法でのジェスチャーやモーション利用では使用可能な場所が限定されるという問題問題に対して、動作による外界への影響が少ない舌を利用することで解決を図っていました。実験では5種類の動作音の判別精度の測定を行なっており、8割を超える精度で識別ができるものとなっており、将来の実用が楽しみな研究でした。

ProCamシステムを用いたカメラと異なる視点位置に対する光学的補正後藤、河阪、橋本 (電気通信大学)

  • 初日の「AR/MR:一般」セッションで発表された研究です。内容としてはプロジェクタを用いて映像投影する際に投影面の色や模様の影響を受けないというものです。光学的補正というものは従来からありましたが、一般的に利用するとなるとカメラがユーザの視線上にあるため邪魔になってしまうという問題がありました。この研究では邪魔にならない位置にカメラを設置し、光学的補正を行っています。さらにユーザの動きや視線も考慮され、従来方法と比べて誤差が大幅に軽減されており非常に面白い研究でした。

実演発表

次に実演発表で体験したものをいくつかご紹介いたします。実演発表では口頭発表で発表されたシステムの展示だけでなく、国際学生対抗バーチャルリアリティコンテストの予選大会と呼ばれる、学生により製作されたインタラクティブ作品の展示が同時開催されていました。どの展示も奇抜な発想なものばかりで楽しんで体験できました。

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「電子転生」棺桶の中に入り、臨死体験

 

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「ブラジル落下旅行」ブラジルに行くためマントルを突き抜ける体験

 

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「ミミトンネル」耳にトンネルを通し物体を通過させる体験

 

まとめ

VR元年とも呼ばれる2016年は、VR研究者だけでなくVR産業として企業にも注目されるようになり、PlayStation VRやHTC ViveなどのVRデバイスを一般の人でも手にすることが可能な時代となりました。今回参加したバーチャルリアリティ学会大会のパネルディスカッションでも、2016年はVRという研究分野のターニングポイントではないかという意見もあり、今後VRという研究分野がどうなっていくのかという議論が活発に行われていました。来年の学会に私達が参加するかどうかはわかりませんが、今後も注目していきたい研究分野だと改めて感じました。

余談ですが、3日目の昼食の時間に会場近くにあった「麺や蒼AOI」のラーメンを食べました。行列に並んだ甲斐もありとても美味しかったです。
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