中村聡史研究室

明治大学 総合数理学部 先端メディアサイエンス学科: Human-Information Interaction / Lifelog / BADUI

SIGHCI175にて「歩行経路と視線対象に基づく迷子要因の分析」というタイトルで発表しました(神山拓史)

   

年の瀬もいよいよ押し詰まる頃となりました.忘年会ラッシュの中,みなさまいかがお過ごしでしょうか.中村研究室 M1の神山拓史です.

この度,2017年11月1〜2日に兵庫県淡路市夢舞台で行われた「第175回ヒューマンコンピュータインタラクション研究会(SIGHCI175)」にて,「歩行経路と視線対象に基づく迷子要因の分析」というタイトルで発表しましたので,そちら報告をさせていただきます.
同日にB3の高橋が発表した内容の報告記事はこちらに,ならびに研究会の参加報告記事はこちらになります.

研究の概要

今回の研究は、2017年3月に「第172回ヒューマンコンピュータインタラクション研究会(SIGHCI172)」にて発表させていただいた「街歩き時の視線ログ分析による迷子特徴に関する調査」という研究を発展させたものとなります.

日常生活を送る中で道に迷った経験ってありませんか?僕は結構よく道に迷っています.
道に迷う原因は様々あるのですが,その中でも空間を把握したり,歩行中の注意力に密接に関わるのが視線です.本研究では,街中で道に迷う環境下での歩行中の視線に着目し,トラッキングデータから道に迷った要因を分析していく,といった研究になります.

前回のSIGHCI172で発表した内容では道に迷ったと自覚するまでの視線対象の傾向調査を行っていました.しかし,道に迷ったと自覚した時にはすでに迷っていることや,どのように道に迷ったかについて考慮していないため,道に迷う要因を分析するには不十分でした.そこで今回は,これらを考慮して分析を行うことで,道に迷う要因を分析してみよう,という研究になります.

まず前回同様,新宿駅周辺にて迷子を誘発する歩行実験を行いました.
道に迷う要因を想定しながら,下図のような10個の経路を回るオリエンテーリング形式の経路を設計しています(所要時間1~2時間程度).これを23名の実験協力者さんたちに視線計測装置を装着しながら歩いてもらって,視線のデータを収集しました.

次に,各実験協力者の歩行経路をもとに,どのように道に迷ったのかを以下の3つの状態に分類しました.

  • 道に迷わなかった
  • 出発してからすぐに目的地とは違う方向に歩いた
  • 目的地に向かう途中から道に迷った

これらの下準備のもと,道に迷う前までの視線データを,道に迷った場合と道に迷った場合とで比較を行うことで分析しました.考察をまとめると以下の通りです.

  • 道に迷う場所について
    • 以下の2つの場所が迷った人が特に多かったため,このような場所は要注意です.
      • 屋内で視界が遮られやすい場所
      • 上下に入り組むなど複雑な構造をしている場所
  • 道に迷う人の特徴について
    • 道に迷う人にのみ見られた行動として,地図を回転させて自身の位置と周囲の環境を参照する行動が挙げらました.そのため,このような行動は道に迷う人の特徴であり,道に迷う1つの要因として考えられます.
  • 道に迷う前の行動について
    • 途中から道に迷った人と道に迷わなかった人との比較において,以下の2点が明らかになりました.
    • 様々な情報ソースを使った経路検索が効果的
      • 参照した情報の種類に対する検索回数について検証したところ,道に迷わなかった実験協力者でも,画像検索結果やWebページ,YouTubeに投稿された目的地までの案内動画と,地図アプリ以外に様々な情報ソースを利用していたことから,このようなことが明らかとなりました.
    • 周囲を見渡しすぎても,見ないのもNG
      • 特に迷いやすい場所での行動では,道に迷った人の方が周囲を見た回数が多かったのですが,それ以外の場所で道に迷った場合の行動として,周囲をあまり見ずにまっすぐ前進していた様子が観察されたことから,このようなことが明らかとなりました.

詳しい内容についてはこちらのSlideShareをご覧ください.

 

また,この研究の論文は下記からご参照ください.

神山 拓史, 中村 聡史: 歩行経路と視線対象に基づく迷子要因の分析, 情報処理学会研究報告ヒューマンコンピュータインタラクション(HCI),2017-HCI-175(12),1-8 (2017-10-25) , 2188-8760.

感想

学会会場であった淡路国際会議場や淡路ウェスティンホテルの一帯がかなり複雑な動線になっている,ということで,様々な方とディスカッションが深まり,また今後の指針になるような意見もいただけました.また,このような議論につなげられたのも発表練習に付き合ってくれた研究室メンバーのおかげです.この場を借りてみなさまに感謝を申し上げるとともに,これからもまたこの研究を精進して進捗していきます!

同行してくれたみんなありがとうございました!

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