中村聡史研究室

明治大学 総合数理学部 先端メディアサイエンス学科: Human-Information Interaction / Lifelog / BADUI

SIGHCI169で「ユーザに気づかせることなく書写技能を向上させるシステムの提案」というタイトルで発表してきました。(久保田夏美)

   

中村研B3の久保田夏美です!

2016/8/29~8/30に山口県下関で行われた情報処理学会のヒューマンコンピュータインタラクション研究会(SIGHCI 169)にて研究の発表をしてきたのでその報告をさせていただきます.

みなさん文字の練習は面倒くさくありませんか?

私は字を綺麗に書きたいという思いが強くあるのですが,なぞり書き練習というのがどうしても好きになれず,すぐに飽きて投げ出してしまいたくなります.みなさんも,そうした経験はないでしょうか?

小学校ではひらがなや漢字を練習するときになぞり書きしたりお手本の文字を模写するといった経験が誰しもあると思います.しかし,今までの練習は退屈で飽きてしまう,やる気が出なく,モチベーションの維持が難しいように感じます.

私は,そうしたなぞり書きによる練習ではなく,新しい手書きの練習方法として,ユーザが気づかないうちに手書き文字をお手本文字とリアルタイムに融合・変換し,その平均文字を自身の手書き文字として認識してもらうことを目的としたシステムを提案しました.

書写技能向上システム

提案した「書写技能向上システム」は下の図のような感じです.

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とはいっても,スクリーンキャプチャではわかりにくいかと思いますので,まずはこちらのシステムのデモ動画をどうぞ.

では,システムの概要を説明させていただきます.

システム概要
  1. まず,ユーザには指定の文字を書いてもらいます.このときは,ユーザが書きたいストロークで書くことができます.
  2. 次に,その書いた文字を一画ずつフーリエ級数展開して数式にし,お手本の文字の数式と加重平均化することで,自身とお手本の融合文字へと自動変換します.
  3. また,その融合文字をユーザに提示し,ユーザ自身に「自分の文字だ」と認識してもらいます.
  4. 「次へ」を押すと書いた文字が消えるので,また1に戻って文字を書きます.

これを繰り返すうちに,自分で書いて少しだけ美化された手書き文字が自分の文字と認識するため,次に同じ文字を書くときに,前に書いたときよりも少し綺麗な文字を書くということができるのではと期待しています.これにより,練習している意識なく書写技能が向上していくことで長期的な練習であっても,精神的負担が比較的少なくの練習できるのではないかと私たちは考えました.

 

実験結果

今回は,この書写技能向上システムを実験協力者に使用してもらい

  • ユーザの技能がどれほど向上したか?
  • 使用した感想はどうだったのか?

を検証しました.その結果,

  • 字形に劇的な変化はなかったがお手本の字形に少しだけ近づいた
  • 0.1や0.2の融合率では気づかれない
  • 0.2以上の融合率の場合に,自身の文字が綺麗になっているかのような感覚がうまれ,書くことに対するモチベーションが既存の練習方法(なぞり書き,模写)より向上した

ということが明らかになりました.また,原稿には載せていませんが,オープンキャンパスなどで実際に使ってもらったところ,多くの人の手書き文字練習に関するモチベーションを向上させることができていました.詳しい情報およびデータはスライドの後半をご覧ください.

発表スライド

 

論文はこちら↓

 

今後の展望

今回の結果から,書写技能を向上するのは容易ではなく,長期的な実験で経過を観察する必要があることがわかりました.

また,今回は研究室の人に実験協力してもらいましたが

  • 字形の大きな変化が見込める小学生
  • 日本語学習中の留学生

など対象者を広げてどのように字形が変化するのかを検証していきたいと考えています.

また,手書き文字だけでなく,絵や図形などでも描画技術は向上し手書き分野全体に応用可能なのかも検証していく予定です.

初めて参加した学会の感想

今回が私にとって学会発表の初参加.本番は緊張したのはもちろん準備がすごく大切だなと感じました.

論文の原稿を推敲したり,見ている人に伝わりやすいスライドの内容を工夫したり,見やすいデザインを指摘してもらい何度も変更したりと,本番の20分のためにこれだけ多くの時間を費やさなければいけないのだなということを実感しました.

まだまだ完全ではありませんが,発表当日はやりきることができたと思います.プログラミング力も文章力も日本語力も足りない私に毎日いろいろご指導・ご指摘くださった中村先生,先輩方,同期にこの場を借りて感謝を申し上げます.

プログラムのあれこれを教えていただかなければシステムもここまで完成することなく,発表本番までくることは難しかったと思います.本当にありがとうございました.

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