HCS研究会にて「商品選択においてフォントがユーザの選択行動に及ぼす影響の調査」というタイトルで発表してきました(川島拓也・築舘多藍)

   

はじめに

初めまして!B3の川島拓也と築舘多藍です。

今年度から2人とも違う研究室に所属しておりますが、昨年行った研究を発表すべく、5/16-17に沖縄産業支援センターにて行われたHCS研究会にて参加してまいりましたので、その報告をさせていただきます。

今回、「商品選択においてフォントがユーザの選択行動に及ぼす影響の調査」というタイトルで、築舘が登壇発表させていただきました。

あらまし

私たちは商品を選ぶとき、様々な要因に影響されています。

食品を例にあげると、「味」はもちろん「量」「値段」「商品名」「パッケージデザイン」などがあります。

それらの要因が私たちに良い影響を与えればその商品が選ばれやすくなりますが、一方で選ばれづらい商品も存在します。

そんな選ばれづらい商品を選んでもらえるようにしたり、商品を選ぶときの迷いを解決したりするため、私たちは要因の一つである「フォント」を使って商品の選択を誘導したり(または誘導しないようにしたり)、迷いの問題を解決できないかと考えました。

例えば、下のようなフォントで味が提示されている場合にどれを選ぶかというものになります。

 

研究内容

まず、フォントと商品(食品)の印象に関する研究として、

  • フォントが消費者の商品評価に強い影響を与える(Childersら, 2008)
  • 味には適する文字デザインがある(Velascoら, 2015)

ということがすでにわかっています。しかし、そのフォントが商品の選択においてどのような影響を与えるのかについては明らかになっていませんでした。

そこで私たちの研究では、フォントが商品の印象に影響を与えることで、実際の選択行動へ影響があるのかを調査しました。

実験として、お菓子の味のフォントを変更するシステムを用いて、実験協力者に食べたいものを選んでもらい、選んでもらったお菓子は、実際に配布しています。予備実験である程度の効果を確認し、より効果がでるような表示形式への変更と商品の追加を行ったうえで、本実験を実施しました。

本実験で用いたお菓子は、「うまい棒」「チュッパチャップス」「ソイジョイ」「こんにゃく畑」で、味はそれぞれ9種類、6種類、11種類、6種類あります。

  • うまい棒:エビマヨネーズ、コーンポタージュ、サラミ、タコヤキ、チキンカレー、チーズ、テリヤキバーガー、メンタイ、ヤサイサラダ
  • チュッパチャップス:ラムネ、コーラ、ストロベリークリーム、プリン、グレープ、ストロベリー
  • ソイジョイ:アップル、アーモンドチョコレート、ストロベリー、バナナ、ピーチ、ピーナッツ、ブルーベリー、プレーン、ホワイトマカダミア、ミックスベリー、レーズン
  • こんにゃく畑:いちごミルク、ぶどう、りんご、コーヒー、温州みかん、白桃

用いたフォントは下の画像の通りです。共著者で話し合い、なるべく印象が違うものを9種類選定しました。

以下の流れで実験協力者にシステムを操作してもらい、食べたいものを選んでもらいます。

  1. 4種類の中から食べたいお菓子を選ぶ。
  2. 選んだお菓子の味の名前が、9種類のフォントの中からランダムで変えられて表示される。
  3. 選んだお菓子をゲット!

上のシステムの画面は、うまい棒の味が「DCPひげ文字W5」で表示されています。

みなさんだったら何を選びますか? 私ならタコヤキを選んじゃいそうです。

 

実験の結果、一部の味でフォントが商品選択に影響しているという結果が得られました。よく選ばれたフォントと味の組み合わせを下に一気に紹介します!

なんとなく選んでしまいそうな印象が伝わってくるような気がしませんでしょうか?

ちなみに最初に提示させていただいたものでは選択率は下記のような感じでした。

このフォントによる影響を利用することで、

  • 一部の商品への選択を誘導する
  • あえて偏らない選択を誘導する

ということが期待できます!

また、「DCPクリスタルW5」と「DFPPOP1体W5」が選ばれる味が似ていたので、同じ味に誘導しつつデザインの幅を広げられる可能性も見られました。

 

今後の展望と応用

今後は、さらに様々なフォントを用いて実験したり、実験協力者に味とフォントの印象評価をしてもらうことで、よりフォントの有用性を検証していきたいと思います。

応用としては、フォントが変えられるシステムを導入しやすいデジタルサイネージ(表示と通信にデジタル技術を活用して平面ディスプレイやプロジェクタなどによって映像や文字を表示する情報・広告媒体(Wikipedia より))などで実装することで、

  • 選択側:迷いが解決される
  • 提示側:ユーザが分散する

ということが期待できます!

 

論文・スライド

こちらに発表スライドと論文があります

川島拓也, 築舘多藍, 細谷美月, 山浦祐明, 中村聡史: 商品選択においてフォントがユーザの選択行動に及ぼす影響の調査, 電子情報通信学会 ヒューマンコミュニケーション基礎研究会(HCS), HCS-23, 沖縄 (2019/05/17).

もしよろしければ、スライドと論文を見て下さい!

 

感想

主に論文の作成を担当しました、川島です。

初めての研究会であり、先輩方や先生に指摘してもらい修正という繰り返しを何度も行い、論文とはなんたるかをたくさん学べました。指摘される部分がたくさんあり、先輩方や先生には手を焼かせてしまったかと思います。m(_ _)m

2年生のうちに行った研究をこうして外部で発表できたことは、とても良い経験になりました。今年度からは別の研究室になってしましたが、中村研究室で得た知識や経験をしっかり活かして、今の研究室でもどんどん研究していけたらなと思います!

共著として色々と指導してくださった細谷さん、山浦さん、その他アドバイスしてくださった先輩方、1年間お世話になった中村先生、様々な知見をくださった研究会関係者のみなさまにこの場を借りて感謝いたします。そして、とても頼りになって発表も完璧にこなしてくれた築舘にも感謝します。ありがとうございました!

沖縄そばたくさん食べられて満足できました。あと、研究会のあとの打ち上げで、普段飲まないビールや泡盛を飲めてよかったです。マンゴービールとかまた飲みたいですね。(川島)

 

発表とデータ分析を主に担当しました、築舘です!

発表まで終えて、何よりも楽しい研究になったかなと思います。数々のお菓子を用いたことだけではなく、この研究はこれから様々な応用がきくうえ、深く掘り下げていったら面白そうな指標もたくさん残されている面白さがあります。今年度中村研を離れた私に代わって同期の濱野が引き継いでくれたのですが、まだまだ私がこの研究を続けていきたいくらいです。

データ分析をするにあたっては知らないことだらけで、先輩方や先生から多くのことを教えていただきました。発表にあたっては、所属するFMS学科で発表の機会が度々設けられていたことに助けられ、様々なご意見をいただきながらなんとか終えることができました。

実は、よく意味もわからずに研究を行っていました。しかし発表練習を重ねるうちに研究としてどういう位置づけであるかについてぼんやりとつかむことができて、今後研究を行ううえで核となる感覚をほんの少し垣間見た気がします。学部3年の最初、このタイミングで外部の研究会での発表をさせていただくことは、今後の学生生活においてとても意味のある経験となりました。

お力添えくださった皆さまに感謝しています。ありがとうございました。(築舘)

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