第192回HCI研究会で「カウントダウンを用いたタスクへの再集中手法の検討」というタイトルで発表してきました(南里英幸)

      2021/03/22

はじめに

こんにちは! 中村研究室M1の南里英幸です!

最近は麻雀熱が再燃してMリーグ見て興奮したり、じゃんたまで一喜一憂したりして、いつかは研究室の人と、実物の牌を使って机を囲んで遊びたいなと思いながら、楽しく過ごせているように思います。

早く雀士を抜け出したい!

さて、3月15日、16日に開催されたオンライン開催されたHCI研究会で発表を行いましたので、その報告をさせていただきます。

研究内容

皆さんは、タスクを実施するとき集中できていますでしょうか。

加えて、どれくらい集中を維持することができていると思いますか。

とある調査によると人間は約40分しか集中できないと言われているそうです。集中するための方法にポモドーロテクニックや作業用BGMなどいろいろなものが知られていますが、誰もが実践できるようなものではなく、明確な手法は確立されていません

そこで我々は目標勾配効果に着目しました。これは、ゴールに近づいていることを実感すると頑張ろうとする効果のことです。慈善キャンペーンが目標に近づくにつれて、それに参加する可能性が高くなる調査結果や、タスク中に残り時間を提示することで疲労感が軽減する調査結果が得られており、これを応用して、タスク中に残り時間を提示することで、タスクを継続的に行いやすくなるのではと考えました。

本研究では、タスク中に集中が欠如したタイミングでカウントダウンを提示することによってタスクへの再集中を促す手法を提案し、その提案手法の有用性の検証の為に、我々は新しくタスクを設計しました。色々なタスクがあると思われますが、ある程度長期的に実施するもので、単調ではあるが正解と見比べることで誰でも実施できるものであり、終わりが見えず退屈なものとして採点タスクを採用しました。

 

タスク設計

タスクの風景は以下の動画の通りです。

右側の部分(正解部分)を参照しながら、左側のもの(採点部分)と合致しているかどうかをマウスを使ってチェックしていきます。

採点するものは40問で、0~9の単回答または複数回答(順不問)の問題の形式になっています。

40個すべて埋まると自動的に次に移動するようになっています。

また、検証の障害になる恐れがあるため、正解部分は用紙ごとに変化するようにしました。

単純なパターンマッチングを避けるかつ、実際の採点環境に寄せるため、採点部分は手書き文字画像、正解部分はフォントを使用しました。

また、提案手法であるカウントダウンは、以下の動画のようにタスク画面の中央上部に表示されます。

 

本実験

先述のタスクを用いて、提案手法の有用性の検討を行うために12名を対象に実験を行いました。実験では3つの手法を用いて比較検証を行いました。

その3つの手法とは、

① 途中提示手法(提案手法):特定のタイミングからカウントダウンを提示

② 常時提示手法:タスク中に常時カウントダウンを提示する

③ 非提示手法:タスク中にカウントダウンの提示をしない

です。今回の実験は1回のタスクを5分、カウントダウンの提示はタスク30秒前、各手法を1回ずつ1セット(3回分)として、合計3セット(9回分)実施してもらいました。また、試行1回ごとにアンケートに回答してもらいました。

以降、説明の都合上、タスク開始~タスク終了30秒前を非CD区間、タスク終了30秒前~タスク終了をCD区間とします。

 

結果と考察

残念ながら、タスクの正答率や1つの問題ごとの所要時間の平均に関して、今回の実験では手法間に差は見られませんでした。

また、試行ごとに行ったアンケートで主観集中度と主観疲労度のセットごとの変化を観察したところ、タスク中にカウントダウンが提示されている途中提示手法と常時提示手法の手法がタスクの後半である3セット目で改善されている様子が観察されましたが、こちらも大きな変化と言えるものとはいえませんでした。

ということで、今回の実験では、CD区間で途中提示手法が最も効果的であると考えていたのですが、想定と異なる結果となり、手法間で差はありませんでした。

その理由として、実験全体における全実験協力者の用紙1枚(40問)の平均処理時間が42.4秒であり、提示されるカウントダウンが30秒であったことが原因として考えられます。カウントダウンが提示されたタイミングで、今処理している用紙における採点状況によって行動変化してしまったための可能性が考えられます。アンケートでも「ギリギリだと気づいたら、採点のスピードを上げた」「急いでもこのページ終わらないから焦らずに採点した」といった意見も得られており、実験協力者の採点状況に応じて行動が変化したと言えます。つまり、これはタスクとカウントダウンが何かしら関係していたことが理由ではないかと考えられます。

さらに、手法間で差がなかった原因を詳しく調べるために以下のような散布図を作成しました。

タスクすべての設問当たりの平均タスク数を用いて領域を4つに分割することができ、それぞれの領域では、以下のような様子があったと考えられます。

下の図はある実験協力者の散布図です。

全体的にタスクの後半になるまで実施できている様子が分かりますが、平均よりも残りのタスク数が大きいとき、カウントダウンが表示されたパターンで実施タスク数が平均よりも低くなっていることが分かります。それに対して、非提示手法では平均と同じものに落ち着いており、平均に近い場合はカウントダウンを表示されているときに平均よりも高い結果になっていることが分かりました。

続いてこれは別の実験協力者の散布図です。

これは、左下の領域で赤い直線に近いものに対し、平均より低いものが数件かあります。これは、カウントダウンに合わせるような形で終わらせている様子が分かります。

また、こちらも別の実験協力者の散布図になります。

これは、右上の領域で、赤い直線に近いものに対し、平均より高いものが2件かあります。カウントダウンが表示されていることに対して、それに間に合わせようとタスク速度を高くした様子が分かります。

 

以上のことから、残り30秒時のその用紙の残りタスク数と実際に実施したタスク数の関係として、

  • その用紙の残りタスク数が残り時間に対して間に合わないと感じた→その用紙を完了させることをあきらめ、タスク速度が低下、実施量が減少
  • その用紙の残りタスク数が残り時間に対して間に合いそうと感じた→その用紙を完了させようと、タスク速度が上昇、実施量が上昇
  • カウントダウンの提示によって、平均と比べタスク速度が低下→カウントダウンが終わるタイミングでキリ良く終わろうとし、速度を調整した

このことから、タスク状況にあった適切量、適切なタイミングでのカウントダウンの提示が必要であることが分かりました。

今後は、そういった部分を考慮して再実験をしていきたいと考えています。

 

スライド

 

論文情報

南里 英幸, 中村 聡史. カウントダウン提示によるタスクへの再集中手法の検討, 情報処理学会 研究報告ヒューマンコンピュータインタラクション(HCI), Vol.2021-HCI-192, No.35, pp.1-7, 2021.

 

感想

前回に引き続きオンライン発表でしたが、今回は研究室で同じ研究会で発表する子がいたので、研究室に集まって発表しました。オンラインよりも気持ち的には楽で、対面よりも落ち着いて発表できたように思いました。個人的には理想的な発表環境だったように思います。

今年は修論が控えていますし就活もと非常に大変な1年になりそうなので、気を引き締めて頑張っていきたいと思います。

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