第128回CN研究会にて「星空観察における起点となる星のズレが会話に及ぼす影響:仮想環境での検証」というタイトルで発表してきました(飯田空)

投稿者: | 2026年3月24日

はじめに

お久しぶりです!中村研究室修士1年の飯田空です。

人生4回目の学会参加として、3月9日から10日に東京の芝浦工業大学で開催された第128回CN研究回にて発表してきました。
今回は、発表させていただいた論文・学会についての報告をさせていただきます!

今回発表した論文は、CN124およびCollabTech2025で発表した内容の続きとなっております。

 

研究概要

はじめに・目的

複数人で行う星空観察では、相手と同じ星を見ながら会話しているつもりでも、実際には異なる星を見ていることがあります。こうした認識のずれは本人たちには気づきにくく、会話がそのまま進んでしまうこともあります。本研究は、観察者同士の見ている星のズレを会話から検出し、円滑な共同星空観察を支援するシステムを実現することを最終的な目標としています。

システム実現に向けた、まずは会話のすれ違い推定の基礎調査として、本研究では星座説明の出発点となる「起点星」に着目しました。起点星とは、星座の説明において、最初に着目される星を指します。その起点星が参加者間でずれると、その後の会話も誤った認識のまま進んでしまう可能性があります。そこで、起点星を意図的にずらした場合とずらしていない場合を比較し、見ている星の違いが会話にどのような影響を与えるかを明らかにすることを目的としました。仮説として、ズレがある条件ではフィラーが増え、発話間隔が長くなると考えました。

実験・分析

実験では、実際の野外で条件をそろえることが難しいため、VR上に2人が同じ星空を見ながら会話できる環境を構築しました。

参加者は2人1組で、1人が星座を知って説明する伝達役、もう1人がその説明を聞いて星座を特定する理解役を担当しました。理解役は3分時点とタスク終了時に、星座だと思う星を指し示しました。
条件は、起点星が同じものとして提示される「起点ズレなし条件」と、異なるものが提示される「起点ズレあり条件」の2種類です。
この図は起点ズレあり条件のときの、起点星の違いを表したものになります。赤い点が最初に提示される起点星を表していて、黄色い星が星座を表しています。

仮説として以下2つを定義しました。

  • H1:起点ズレあり条件では起点ズレなし条件よりもフィラーが増加する
  • H2:起点ズレあり条件では起点ズレなし条件よりも発話間隔が長くなる

仮説を検証するために分析項目を設定しました。

客観結果(正答率:0〜1)
・3分時点正答率/ 最終正答率

会話指標
・発話率/ターン交代率(回/分)
・平均交代間隔/沈黙時間(秒)
・フィラー率(回/分:全/「え」系)

主観評価
・円滑さ、星座の一致感、起点星の使いやすさ、楽しさ、ストレス

 

結果・今後

結果として、起点ズレあり条件では、3分時点・最終時点のどちらでも正答率が有意に低下しました。また、会話では沈黙時間や発話交代間隔が長くなる傾向が見られ、特にタスク全体では有意な増加が確認されました。一方で、フィラーは増加傾向にとどまり、明確な有意差は見られませんでした。主観評価では、会話の円滑さや星座の一致感が低下しました。

さらに、ケーススタディとしてタイムスタンプ付き会話データからLLMに起点ズレ条件かどうかを推定させる試みも行いました。その結果、見逃しは少ない一方で誤検知も多く、会話特徴だけで安定して判定することの難しさが示されました。今後は、こうした推定手法を改善しながら、観察者同士の見ている星のずれを会話から捉え、共同星空観察を支援するシステムの実現につなげていきたいと考えています。詳しくは論文・スライドを参照ください!

また、最終的な支援システムでは、本人たちは一致しているつもりでも、実際には見ている星が一致していない「無自覚なズレ」のある会話からズレを推定する必要があります。今後は、このようなズレをより正確に推定する方法を検討し、最終的には観察者同士の認識のずれを検出して共同星空観察を支援するシステムの実現につなげたいと考えています。

発表スライドと論文情報

飯田 空, 中村 聡史. 星空観察における起点となる星のズレが会話に及ぼす影響:仮想環境での検証, 情報処理学会 研究報告コラボレーションとネットワークサービス(CN), Vol.2026-CN-128, No.8, pp.1-8, 2026.

おわりに

人生初の東京での発表ということで、沖縄・奄美大島・インドネシアでの過去の学会ほど参加前の高揚感はありませんでしたが、今回もしっかり楽しむことができました。特に、月島でもんじゃを食べたり、お台場でスポッチャに行ったりと、地元の東京ならではの楽しみ方ができたと思います。地方から東京開催の学会に参加される方は、どのようなことを楽しまれるのだろうと思いました。今後の参考にしたいと思います!

写真は、月島で食べたもんじゃです!

最後になりますが、ご指導いただいた中村先生、様々な研究活動にご協力いただいた研究室の皆様に心より感謝申し上げます。

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