インタラクション2026に聴講で参加してきました(金谷一輝)

投稿者: | 2026年3月10日

こんにちは,B4金谷一輝です!

2026年3月3~5日に学術総合センター内一橋記念講堂で開催されたインタラクション2026に聴講で参加してきましたので,その報告をさせていただきます.

この記事では,3日間を通して特に気になった研究に加え,聴講参加の感想についてお話させていただければと思います.

気になった研究

LLMに基づく受けて視点フィードバックによるメール・チャット文改善支援システム

高田 颯真,高嶋 和毅 (芝浦工業大学)

こちらの研究は,メールやチャットなどのテキストコミュニケーションでは,書き手の意図と受け取り手でズレが生じるという問題と,LLMによる文章支援によって書き手が自分の表現を主体的に検討する機会が限られているという2つの問題に着目し,書き手が入力した文面に対して,受け手の立場を仮定した読み取り結果を提示する受けて視点フィードバックシステムを提案したものです.予備実験の結果,受け手視点フィードバックにより文面の修正が促される一方で,部分的な修正の積み重ねによって文面全体の整合性が損なわれる場合があることがわかりました.

 

本研究は,書き手と受け手の解釈違いとAIへの過度依存という2つの問題に着目しており,非常に面白い着眼点だなと感じました.予備実験では,メール作成タスクを参加者に行ってもらっていたが,このタスクだけでは書き手と受け手の解釈違いという前者の問題を解決するシステムではないのかな,と感じたので,今後の実験とその結果がすごく気になりました.また,AIへの過度依存という観点から,LLMによる修正例をユーザが参考として取捨選択し,必要に応じて適用を選べる形式が良く考えられているなと感じました.

 

 

人間とAIで感情のやり取りをできるような対話の実現に向けた対話型読書AIの一検討

石寺 永記,金子 智一,松木 彰,池田 圭佑,タン チュンヤン,松尾 凌輔,井手口 裕太,西本 慎之介,鈴木 哲明,船田 純一,宮野 博義 (NEC)

こちらの研究は,人間とAIが一緒に小説を読み進める状況を題材に,その過程で人間とAIが互いに感想等を述べ合う対話型読書AIを提案したものです.このシステムはAIが横で一緒に小説を読む友達のように,小説を読んでいて抱く感情やその感情の強さをユーザに表示しています.このシステムから人間とAIが人間の感情に寄り添い,AIに共感してもらえたと感じる場合も確認できました.

 

本研究は,AIと一緒に小説を読み進め,感想等を述べ合うということで,学校教育に活用できそうだなと感じました.AIのプロンプト次第で,AIが抱く感情が小学生や中学生といろいろ変化させられるという点で,生徒と教師の両面で活用できそうです.著者の方とお話をさせてもらいましたが,企業の研究なので利益が生まれるサービスじゃないとね,という言葉が印象に残っています.我々学生の研究とは違って利益が出るサービスを考える,というのは非常に興味深かったです.

 

 

チャットツールにおける動的表示遅延を用いたネットいじめ削減手法の提案

川口 尊琉,神場 知成 (東洋大学)

こちらの研究は,ネットいじめに対する解決策としてブロックフィルターや投稿削除機能などがあるが,これらの技術的介入は包括的な解決策とはなっていないという問題に対して,攻撃性の高いメッセージが発見された場合,その表示を動的に遅延させ,発言者の衝動性を低下させ,攻撃性のエスカレーションを防ぐことを目的としています.

 

メッセージの攻撃性に応じて遅延時間を挿入するという手法が斬新で面白いなと感じました.ネットいじめをする人が遅延を挿入することで冷静さを取り戻し,メッセージの内容を変化させるかは実験を行ってみないと分からないことですが,ネットいじめに関わらず,日常会話でも活用できたらより面白いのかなと思いました.また,この筆頭著者の方がインタラクションが最初の学会です,とおっしゃっていてすごいなと感じました(笑)今後,どこかの研究会でお会いすることがあれば,またお話をしてみたいと感じる人でした.

 

 

VRを用いた運動技能トレーニングのための未来のお手本情報提示

佐々木 悠佑,入山 太嗣,小室 孝 (埼玉大学)

こちらの研究は,VRを用いた運動技能トレーニングにおいて,訓練者が目指すべき目標の動作に加えて,その先の未来の動作をお手本として提示する手法を提案しています.本研究では,フォームやタイミングが重要となる技能として,ダーツを取り上げ,動作の学習において重要なタイミングの視覚化を行いました.ダーツ初心者1名による評価から,お手本動作によってフォームを事前に確認しつつ動作を試行できたことを確認しました.

 

私もここ半年でダーツを始めていたため,気になっていた研究でした.実際にHMDを付けて投げる体験をさせていただきましたが,ダーツを始めたことがある人には難しいシステムだなと感じました.ダーツをまったくしたことがない初心者の方にとっては,自身のフォームとお手本フォームがあることで,腕の動かし方などをイメージできる点で良いのかなと思います.中級者向けのシステムも欲しいですね.

 

 

読んでいる行を自動でハイライトするリーディングツールの提案と開発

佐藤 樹,加藤 直樹 (東京学芸大学)

こちらの研究は,デジタル画面でのリーディングにおいて文字サイズ調整やスクロールにより直前まで読んでいた行を見失い,読み飛ばしや重複読みが生じやすいという問題に対して,視線の動きから行移動を検知し,ユーザの操作を伴わずにハイライトを自動更新するリーディングツールを提案しています.また,英文リーディングの視線データも収集し,その特性に関して複数の指標で検証も行っています.

 

本研究では,読み飛ばしを防止するために,行ごとかつ行全体にハイライトを付与していますが,システムのデモを見させていただいたときに,ハイライトは単語ごとや,また次の行の最初の数単語にもハイライトすることで,次の行をわかりやすくするアイデアがたくさん考えられるなと感じました.また,現在はアイトラッキングに無料のWebGazerを使用していますが,今後は精度向上のために有料のソフトで行えば,さらなる改良ができるとおっしゃっていたので,今後に期待です.

 

 

LLMを用いた階層的トピック提示による探索的論文検索支援

島津 秀弥,岨野 太一,高田 秀志 (立命館大学)

こちらの研究は,学術論文の探索においてキーワード中心の検索では切り口が固定化しやすく,関連語の発券や整理が追い付かない場合に探索が渋滞するという問題に対して,入力語から関連トピックを生成し,階層的に提示して可視化することで,探索の切り口を支援するシステムを提案しています.実験の結果,提案システムでは少ない閲覧数で同程度の候補数に到達する傾向が示された.

 

本研究では,入力語から派生してさまざまな検索語を提示してくれるという探索的論文検索を可能にしており,私が論文を探す際に使いたいなと感じるシステムでした.単語の表現をトピックツリーで表現しているのも面白いと感じました.しかし,提案システムのUIをさらに工夫することで,言葉と言葉の関係性やその単語で検索した際の論文の多さ(=研究としての新規性)を表現できるなと考えました.

 

他にも多くの面白い研究はありましたが,本記事では割愛させていただきます

 

感想

今年もこのインタラクションに参加させていただきましたが,去年と同様にいろんなジャンルの研究があってすごく面白かったです!また,中村研で2年間研究に携わったことで,研究に対してさまざまな意見が自然と出てくるようになり,自分自身でも成長を感じています.前回のMUS研究会と併せると,約1週間ほど連続して学会に参加したため,かなりのインプットをしたような気がします.ここで学んだことを来年から修士になる自分の研究にも活かしていきたいです!

 

企業の展示ブースでは,実際にシステムを実用化されているtoittaさんや富士通研究所の方とお話させていただき,企業での研究やシステムの実運用を目の当たりにし,新鮮で興味深かったです.いろいろな企業のお話を聞いて見たいなと感じました.また,暦本先生の特別講演もあり,HCIについてたくさんのお話を聞かせていただきました.特に「今までが不自然,未来の方が自然という状態を作りたい」という言葉は,これまでHCIに携わってきた暦本先生ならでは重みがありました.

来年からはこのインタラクションが大阪開催ということで,今回は研究室の予算で聴講に参加させていただきましたが,次回はそのようなことは難しいと思うので,聴講ではなく発表で大阪に行けるように頑張りたいです!

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