中村聡史研究室

明治大学 総合数理学部 先端メディアサイエンス学科: Human-Information Interaction / Lifelog / BADUI

エンタテインメントコンピューティング2017参加報告(松田、松井、佐藤)

   

中村研究室修士1年の松田、松井、佐藤です。

2017年9月16〜18日にかけて宮城県仙台市の東北大学電気通信研究所で行われた「エンタテインメントコンピューティングシンポジウム2017(EC2017)」に参加してきましたので、その報告をさせていただきます。


私達の研究発表「ノイズキャンセリングミュージック」についてはこちらにまとめてありますので、ぜひご覧いただければと思います。

どれも興味深いものばかりでしたが、ここでは特に気なったものをいくつか紹介させていただきます。

松田が気になった発表

イマミラー2:他者への気づきを促すための映像上の外見交換システム:今村美聡、吉野孝(和歌山大学)

人はその見た目によって話し方や振る舞いを変えることがよくあります。例えば、子供に対しては子供らしい行動や言動をとると予想して、それに適した接し方をすると思います。この研究では、利用者同士で身体を入れ替える体験をすることで、他者への気づきを促すシステムを提案しています。このシステムは、利用者自身の動きが他者の身体の見た目に反映されている映像を見るのですが、普段とは違った身体を体験することで、体格の差や性別の差を改めて認識するきっかけとなる面白い研究でした。また、他人のみならず利用者自身の「癖」を感じるらしく、他者になることによる自己の再認識という部分についても興味深いと感じました。

複数人討論を活性化させるお菓子提示デバイス 「お菓子くん」の検討:大塚正斗(九州大学)、高嶋和毅(東北大学)、上岡玲子(九州大学)、北村喜文(東北大学)

アイデアソンやハッカソンなどの共創の場では、議論が活発に行われるほど良いアイデアが生まれることが多いです。しかし、そういった場では初対面同士がグループになり行うことが多いため、議論の進行がぎこちないものになってしまう場合があります。この研究では、議論を円滑な進行を促すために、議論中にお菓子を提示してくれる「お菓子くん」を提案しています。「お菓子くん」を使った実験により、話し手と聞き手の入れ替わりがスムーズになり、独創的なアイデアが出やすくなるなどの効果が明らかになりました。また、お菓子を提示された人は黙る(食べているから?)という傾向があるらしく、喋りすぎな人に対してお菓子を食べるように促すことで、議論をよりスムーズに進行できるようにうまくコントロールすることができると思うので、是非研究室に導入したいと思う研究でした。

松井が気になった発表

身近なにおいを用いた嗅覚における方向知覚の実験:中村駿也(宮城大学)、鈴木優(宮城大学)

現在、VRにおいて人間の五感を刺激する様々なウェアラブルデバイスが開発されています。たとえば左右の目や耳に異なる情報を提示することで立体的な空間の表現が可能となりますが、嗅覚情報については立体感のある演出を可能とするデバイスやコンテンツが開発されていません。
そこで著者らは左右の鼻腔に異なる濃度のにおいを送ることで、においによる方向知覚がどれほど有効であるかを実験によって明らかにしました。
実験結果としましては、におい方向知覚における正答率に男女差は見られませんでした。ただしにおいの常用経験(日頃から香水などを使っているか)によって正答率に差が見られ、常用経験のない人ほど正答率が高くなる傾向がありました。

自走式ディスプレイの回転と並進を用いたコンテンツ表現の拡張の試み:大西悠貴(東北大学)、工藤義礎(東北大学)、高嶋和毅(東北大学)、北村喜文(東北大学)

アニメーションの物理性を向上させる研究はすでにさまざまなものが行われています。たとえばコンテンツの内容に合わせてディスプレイ自体が傾くことで花が咲いたような表現を可能にするものや、ライブ演出として複数の大画面ディスプレイをロボットアームに接続しコンテンツの内容に合わせて動かすことでより空間的な要素を強く表現する方法などが提案されています。
著者らはこのようなコンテンツ表現の一貫として、コンテンツの内容に連動してディスプレイ自体が回転したり前後に動いたりすることで、アニメーション表現を拡張する方法を提案しています。
デモとしてゾンビを撃退するシューティングゲームを展示しており、ゾンビを撃つ動作と連動してディスプレイが後方にずれるなど、多彩な表現がなされていました。

佐藤が気になった発表

電子音の認識のためのJavaScriptライブラリの開発:栗原一貴(津田塾大学)、板谷あかり(津田塾大学)、植村あい子(日本大学)、北原鉄朗(日本大学)

私たちは普段生活する中で、デジタルゲームの効果音、洗濯機による洗浄の完了音など、様々な「電子音」に触れる機会が存在します。こうした電子音をトリガとすることにより、日常生活を豊かにする様々なアイデアが実現できるのではないかと著者らは考えました。
電子音というものは何度再生しても音響的特徴の変動が少ないという特徴があります。そのため、音を認識するために必ずしも深層学習などの複雑なアルゴリズムを用いる必要はなく、著者らは従来のテンプレートマッチング手法を用いたJavaScriptライブラリを開発しました。
事例の紹介では、「スーパーマリオブラザーズ」のプレイ中にコインを獲得すると、実際にお金が排出される装置をRasberry Piとの連携で実現しており、非常に興味を惹かれました。

エアーハンドル:軽やかな操作で仮装オブジェクトを回転・移動させるインタフェースデザイン:武野泰樹(電気通信大学)、支倉孝光(電気通信大学)、児玉幸子(電気通信大学)

近年のインタラクティブシステムに用いられているハンドル型デバイスは、車やバイクのハンドルのような形状をしているため垂直方向に回転させる必要がありました。そのため、無限に回転させ続けるためには手を持ち替えなければなりませんでした。そこで著者らは、回転軸を身体に対して平行にすることで、無限に同じ力で回転させ続ける手法を提案しています。そのプロトタイプシステム「エアーハンドル」は、形状としては自転車の左右のペダルを組み合わせたような形であり、両端の取っ手を持って回転させることでリアルタイムな入力を可能としています。
回転運動を反映させる例として、複数の歯車からなる駆動系を回転させるシミュレーションシステムと、プレイヤーがアリとなって迷路の中を移動するゲームをCGアプリケーションにて実装していました。
デモ映像にてこれらのアプリケーションが動作する様子を見ましたが、入力運動がリアルタイムに反映されているだけでなく、その挙動もかなりスムーズに感じられました。ハンドルをこぐ操作に加えてデバイス自体を横方向に傾けることで3次元的な動きも容易に表現できるため、工作や手術のシミュレーションなどへの応用も可能なのではないかと思いました。

感想

ECに向けた準備と研究室のイベントが色々なところで被っており、多忙なスケジュールに追われながらの準備となりました。また、初めて研究室のメンバーとチームを組んで原稿を執筆したということもあり、役割分担の重要さをよりいっそう強く感じました。

会場となった仙台は牛タンが名物ということもありましたので、1日目の夜は関西大の方たちと牛タンをいただきました。非常に美味しかったです。

実験に協力してくださった皆さん、そして発表原稿の作成に協力してくださった中村先生、本当にありがとうございました。

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