第6回コミック工学研究会にて「コミックにおける読者依存性の高い地雷表現共有システムの実装とその分析 」というタイトルで発表してきました(伊藤理紗)

   

お久しぶりです!中村研究室M1の伊藤理紗です。

さて、2021年11月21日にオンラインで開催された第6回コミック工学研究会にて研究発表を行いましたので、ご報告させていただきます。

コミック工学は発表のはじめにおすすめの漫画を紹介するという決まりがあるので、ここでも私のおすすめを紹介しておきます。最近読んだものですと、九龍ジェネリックロマンスがおすすめです。どこか懐かしい気持ちになれる素敵な作品なので、ぜひ読んでみてください!

 

研究内容

この記事を読んでいるみなさんは、なにか苦手なものはありますか?
虫が苦手な人、火事が苦手な人、高いところが苦手な人、などといったように人は様々な苦手意識をもちます。
このような苦手意識は、現実世界だけでなくフィクションにおいても存在するかと思います。
私はコミックにおける苦手な表現に着目しました。

本研究ではコミックにおける苦手な描写に着目し「読者依存性の高い地雷」と呼んでいます。例えば、蛇が苦手な人にとっての蛇や、ペットを飼っている人にとってのペットがひどい目にあう描写が、読者依存性の高い地雷と表現できます。
このような、読者依存性の高い地雷は読者の苦手意識によるものであり、その表現を規制することは望ましくありません。

私はこれまでの研究で、読者がコミックを読みながら読者依存性の高い地雷にフラグを付与してもらい、その情報を集約して地雷の存在を事前に教えることでつらさを軽減するという手法を提案しました。そして手法を用いたコミックビューアのプロトタイプシステムを実装し、地雷フラグを付与してもらう実験と地雷箇所の予告による読書体験への影響調査を行いました。
実験の結果、

  • 人によって地雷フラグの判断基準が異なり、ブレが生じること
  • 地雷表現の予告によって、該当ページへの不安が減少する可能性があること
  • 地雷表現の予告によって、該当ページへの興味は減少しない可能性

が明らかになりました。

しかし、この実験では地雷をもたない人にも地雷フラグを付与してもらっていました。
また、地雷フラグの付与対象が「虫」のみであり、対象作品も2作品のみであったため、より多くの作品・地雷についてデータを収集しようと考えました。

そこで、既存のコミックビューアサービスに付随する形で使用可能な地雷フラグ付与システムをGoogle Chromeの拡張機能として実装し、データ収集実験を行いました。
実験では、少年ジャンプ+の読み切り作品などを読んでもらい、実験協力者自身が苦手な地雷についてフラグを付与してもらいました。

その結果、様々な地雷フラグが得られました。「生首」などのグロテスクな描写に関する地雷フラグが多かったのですが、中には「親の結婚催促」などのような読者依存性の高い地雷フラグもみられ、本研究ならではのデータが収集できたと考えています。
また、実験協力者間である程度地雷フラグが重複するということが明らかになりました。

今後は、他のコミックビューアサービスでも使用できるよう実装を進めデータを収集するほか、実験で得られたデータを用いて予告を行うシステムを実装する予定です。
詳細については、後述する原稿とスライドを参照してください。

 

原稿とスライド

 

 

伊藤 理紗, 中村 聡史. コミックにおける読者依存性の高い地雷表現共有システムの実装とその分析, 第6回 コミック工学研究会, pp.55-62, 2021.

 

最後に

研究会の前日である11月20日に開催されたシンポジウムにも参加しました。そちらでは、漫画家さんから漫画を描く際の発想法や制作の進め方などについてお聞きすることができ、とても興味深いお話が多くありました。また開催されることがありましたら、ぜひ参加したいと思います!

最後になりますが、今回の発表にあたりご指導いただきました中村先生、発表練習や議論にご協力くださった研究室の皆さんに心より感謝申し上げます。

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