第110回GN研究会で「メッセージ画面のスクリーンショットを用いた横断型返信忘れ防止手法の検討」というタイトルで発表してきました(松山直人)

      2023/01/05

はじめに

こんにちは、中村研究室B4の松山です。

コロナウイルスの影響によって楽しみにしていた卒業式やエレクトーンの発表会が中止となり、とても悲しいです。一早くこのような状況が収束することを心から願っています。

2020年3月16日〜17日にオンラインで開催された第110回GN研究会にて、「メッセージ画面のスクリーンショットを用いた横断型返信忘れ防止手法の検討」というタイトルで発表しましたので、そちらの発表報告をさせていただきます。

 

研究概要

みなさんは返信を忘れてしまうことはあるでしょうか。僕はよく返信を後回しにすることが多いのですが、そのまま返信を忘れてしまい、相手方に迷惑をかけてしまうことがあります。なぜ返信を忘れてしまうかについて、我々はコミュニケーションツールやチャンネルが乱立し、どこに返信すべきメッセージが存在していたかわからなくなるためだと考えました。

ここで、我々は記憶の想起手法として画像が使われていることに着目しました。会話をやり取りする画面のスクリーンショットをメッセージ画像とし、その画像を提示することで返信すべきメッセージを思い出せると考えました。

しかし、返信がたくさん溜まった際に画像群をそのまま羅列するだけでは一覧性や想起しやすさが下がってしまいます。そこで、画像をサムネイル化するときに、単純に縮小するのではなく、メッセージ画像内の要素を考慮してサムネイル化することで、返信すべきメッセージを探しやすくなるのではないかと考えました。

そこで、本研究では、メッセージ画像の要素をどのように抽出することで、返信すべきメッセージを思い出しやすくなるかについて調査を行いました。

本研究において、アイコン名詞手法(トーク相手のアイコン画像+トーク相手のメッセージ内の名詞)とアイコンメッセージ手法(トーク相手のアイコン画像+最後のメッセージの一部)の2種類の提案手法を用意しました。また、比較のため加工なし、中央トリミング手法、文字のみの3つの手法を用意し、実験を行いました。

本実験に用いた5つの手法

具体的な実験の流れは以下の通りです。

  1. 架空のメッセージ画像を25枚用意(トークテーマはカジュアル・フォーマルを用意)
  2. 実験協力者にメッセージ画像を提示し、メッセージに関する情報5項目(サービス名、グループ名と相手の名前,、相手との関係性、前提条件、聞かれていること)について25枚分記憶してもらう
  3. 上記の5つのサムネイルをランダムに提示し、自由記述によりメッセージに関する情報を、7段階評価により思い出しやすさと見やすさについて回答してもらう
  4. 2. 3.をもう一度行う

実験結果より、以下のことがわかりました。

  • 全体的に中央トリミング手法(比較手法)が評価が高い傾向にあった
  • トークテーマがカジュアルなものは中央トリミング手法(比較手法)フォーマルなものは提案手法が思い出しやすい
  • LINEのスタンプのような特徴的な画像を抽出することで、想起しやすい画像が生成できる可能性が示唆された

なお、本実験では架空のメッセージ画像を用いたため、アイコン画像とトーク相手の名前が十分に紐づいておらず、アイコン画像からトーク相手を想起できなかった実験協力者が多かったです。そのため、今後はそれらを十分に紐づけるタスクを用意したり、実際のメッセージ画像を用意した実験を行ったりする必要があると考えられます。また応用先として、ユーザが返信すべきメッセージ画面のスクリーンショットを撮り、システム側が自動検出、サムネイルを生成し、提示するシステムを考えています。

 

スライド

こちらが発表で使用したスライドです。詳しい研究内容はこちらをご覧ください。

論文情報

松山 直人, 又吉 康綱, 中村 聡史. メッセージ画面のスクリーンショットを用いた横断型返信忘れ防止手法の検討, 情報処理学会 研究報告グループウェアとネットワークサービス(GN), Vol.2020-GN-110, No.18, pp.1-8, 2020.

 

感想

まずは、このような状況の中、オンラインによる発表の場を設けていただいた運営の方々に感謝申し上げます。

僕自身は初のオンライン発表で、聴講者のリアクションがわかりづらく少しやりにくかったですが、貴重な経験をさせていただきました。これを機にオンラインによる会話やミーティングなども少しずつ慣れていこうと思います。

最後になりますが、研究をはじめ原稿や発表練習等でサポートしていただいた中村先生、卒業研究においてたくさん議論していただいた中村研究室の方々、実験に協力してくださった総合数理学部の学生方に、この場を借りて感謝申し上げます。ありがとうございました。

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