はじめに
こんにちは,中村研究室B3の藤代航希です.
2026年9月3日〜4日に北九州学術研究都市で開催されたHCI219にて『Webアンケートの形式と設問文の口調が自由記述設問の回答の質に及ぼす影響:画像説明タスクを用いた検証』というタイトルで発表を行ってきましたので,ご報告いたします.
研究概要
背景
Webアンケートは短期間かつ手軽に多くのデータを収集することができ,紙媒体のアンケートよりもコストを削減することができることから,大規模な基礎データの収集として学術研究や市場調査で活用されています.一方で,自由記述設問では回答が短かったり,含まれる情報量や詳細な記述が少なくなることで,十分な情報を書いてもらうことができず,自由記述ではより多くの情報を引き出すための工夫が必要となってきます.
過去の研究と手法
過去の研究ではアンケートの形式をフォーム・チャット,設問文の口調をフォーマル・カジュアルとした4条件で,自由記述回答への影響を調査しました.しかし条件間では差が見られませんでした.その原因として,漫画に関するアンケートであったため,回答者の知識や興味などの個人差に左右された可能性が考えられました.
そこで本研究では,画像から読み取った情報を説明する画像説明タスクを用いることで個人差の影響を軽減し,再検証を行いました.
実験
実験は生成AIを用いて作成した公園,学校,リビングの3枚の画像を使用し,各画像に対して選択設問2問,自由記述設問1問を回答してもらいました.参加者200名を4条件のいずれかにランダムで割り当てました.
自由記述回答は,画像中の出来事について言及された意味的に独立した情報の数である回答トピック数を用いて評価しました.そして2名の評価者が実験条件を知らない状態で独立にアノテーションを行い,評価者の一致度を確認しました.
結果と考察
アノテーションをした結果,リビングの画像については2名の評価者間の一致度が著しく低かったため,分析対象から除外し,公園と学校の2枚の画像を分析対象としました.
2枚の画像の回答トピック数を用いた分析では,形式・口調による有意な差は見られませんでした.一方,±2SDを基準に外れ値を除外して再分析したところ,形式と口調の交互作用が見られ,チャット×カジュアル,フォーム×フォーマルで回答トピック数が多くなりました.
また画像ごとの分析の結果,公園の画像においてのみ形式と口調の交互作用が見られました.このことから,形式と口調の影響は使用する画像によって異なる可能性が考えられます.
さらにリビングの画像で評価者間の一致度が低かったことから,画像刺激の内容だけでなく,どの記述を1つのトピックとして扱うかというアノテーション基準についても検討する必要があります.
展望
今回の結果を踏まえ,今後は画像説明タスクに適した画像刺激の選定を行います.また,画像中の出来事やトピックの判断基準をより明確にし,アノテーション方法の改善を行うことで,より安定した回答品質の評価を目指します.
発表スライド
論文情報
おわりに
初めての論文執筆,学会発表ということもあり不慣れな部分も多く,思った通りにいかない部分もありましたが,教授や先輩方のお力もお借りし,なんとか終えることができました.学会では他大の教授や学生の方々から貴重なご意見をいただきとても刺激を受けました.今回の経験や反省を活かし,次回はよりよい論文執筆,学会発表につなげていきたいと思います.
また,今回の学会発表の舞台は北九州市でした.初めて訪れた場所であり,美しい景色,美味しい食事など発表前の旅も含めていい思い出ができました.
最後になりますが,研究や原稿執筆,発表練習の指導をしてくださった中村先生ならびに先輩方に,心から感謝申し上げます.




