人工知能学会2017の参加報告(牧良樹、斉藤絢基)

   

夏も終わりに近づき,月を見ながら聞こえる音が蝉の声からコオロギの声に変化していき,月日の流れに驚かされる毎日ですが,皆さんはいかがお過ごしでしょうか.と書き出しを書いていたのに,結局記事を書き終わったのは,暮れも押し迫る12月30日です.光陰矢の如しですね!

今回は,2017年5月23日~26日に開催された人工知能学会2017に参加させていただいたので報告をさせていただきます.

印象に残った研究

ここでは,今回の学会で印象に残った研究をいくつか紹介させていただきます.

牧が気になった研究

恋愛漫画における物語構造分析とその応用

内山清子,石川 諒(湘南工科大学工学部コンピュータ応用学科)

この研究は,近年恋愛をする若者が減少していることを問題視していて,その問題を恋愛漫画の構造を分析することによって恋愛の仕方を勉強できるようにしようとする研究です.

自分が感じたこととして,背景と手法がとても面白かったです.特に,手法の恋愛漫画を使うという点はとても面白くて,漫画にはこんな使い方もあるのか!と感動しました.一つのものに対して多くの目線で見て見る面白さを感じました.

日本語小説の会話文タグ付コーパスの開発に向けて

村井源(はこだて未来大学)

この研究は,小説の会話文を誰の発言なのかを判定しようという研究です.この研究では,小説内にある5632発話手動で分類し,その分析を行っている研究です.その結果,女性より男性の方が発言回数が2倍以上あること,また職場関係や友人関係などの間柄で発言されていることが多いことを明らかにしています.

自分が感じたこととして,発話を手動で分類・属性付与を行っていることに感動しました.また,この研究がさらに進み,誰の発話なのかを自動で分類することができれば,小説を読みやすくするためにどんな手法があるのだろうと妄想してしまいました.

斉藤が気になった研究

オノマトペによる手書き変換手法のコミックへの応用

加納政芳(中京大学)

オノマトペの筆記表現は,マンガの物語を演出する際に場面の雰囲気や人物の心情を表現するための技法としてよく用いられます.こうした筆記表現は同じ文字でも場面ごとの状況によって形状を変える必要がありますが,ユーザが自分のイメージを文字の形状として明確に筆記表現することに困難を伴う場合があります.この研究では,オノマトペによって手書き文字の形状を変換する手法を提案し,ユーザの求めるイメージを反映したオノマトペの筆記表現を支援しています.提案手法で生成したオノマトペをマンガのコマに付与した結果が示されており,同じ文字でも付与したオノマトペのような印象を与えられることが示唆されていました.オノマトペの筆記表現をオノマトペで制御するというアプローチが個人的にとてもツボで,とても印象に残った研究でした.

深層特徴を用いたスケッチに基づく漫画検索

成田嶺(東京大学)

この研究では,漫画の直感的な検索方法としてスケッチによる検索を可能としたシステムを提案しています.このシステムはスケッチによる検索を行い,検索結果をさらにクエリとして利用することができます.任意のキャラクタを自分のスケッチで検索できることにとても魅力を感じると同時に,「このキャラクタがこういうポーズをしているコマを検索したい」といったより具体的な検索結果を求める場合,ユーザの画力が検索結果に影響を及ぼしてしまう可能性が考えられるので,ユーザの画力を補助する機能があるとより使いやすいシステムになるのかなと思いながら聴講させていただいてました.

感想

人工知能学会には初めていきましたが,機械学習だけでなく物語論など様々なジャンルのセッションがあってとても面白かったです.また来年も参加したいです(by 斉藤絢基).

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